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2013 年度 実施状況報告書

胎盤形成における胎盤特異的インプリント遺伝子のエピゲノム分子機構とヒト胎盤異常

研究課題

研究課題/領域番号 25670691
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東北大学

研究代表者

有馬 隆博  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80253532)

研究分担者 岡江 寛明  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10582695)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードエピジェネティックス
研究概要

ゲノムインプリンティング(GI)は、胎盤を有する哺乳類に特有な現象で、胎盤形成にその生物学的重要性が指摘されている。本研究では、胎盤特異的GI遺伝子の胎盤組織特有のエピゲノム分子機構と分子間相互作用について明らかにすることを目的とする。本年度は、DNA多型を有するマウス正常胎盤(E9.5)と、TS細胞を用い、胎盤特異的GI遺伝子(Gab1)のDNAメチル化とヒストン修飾の解析を行った。その結果、新規のDMR(アレル特異的メチル化領域)とH3K4me3やH3K9me2などのヒストン修飾がアレル特異的に見られることを明らかにした。また、これらのアレル特異的なエピジェネティックな修飾は、クローン胎盤では見られなかった。さらにGab1ヘテロKOマウスの胎盤の比較により、父由来遺伝子が欠損した場合には胎盤重量が減少するが、母由来遺伝子欠損では胎盤の異常は観察されなかった。従来、胎盤特異的GI遺伝子は、DMRに依存しないと報告されていた。しかし、Gab1 DMRの存在により、胎児と同様に胎盤におけるインプリンティングにもDNAのメチル化に依存する可能性が示唆された。さらにクローン胎盤では全例でGab1のインプリント制御が異常になっていることにより、体細胞の「核の初期化」には限界があることが強く示唆された。胎盤を保有する動物間でGIが維持されている事実は、胎盤組織の重要性を示すものと改めて認識した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、研究は実施できた。胎盤組織の解析には、母体細胞の混入がないことに、細心の注意を払って実施した。また、ChIP-PCR法については、抗体の選別、特異性や安定性など、十分な基礎的検討を行った。また新たな胎盤特異的DMRを初めて明らかにした。

今後の研究の推進方策

最終年度は、Gab1ヘテロKOマウスの胎盤の形態について詳しく解析し、胎盤での機能についても明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

今年度はの研究は順調に実施できているが、研究成果発表できるまでの成果に至らなかったため、旅費、準備等の資金を繰り越すこととした。
Gab1ヘテロKOマウスの胎盤の形態について詳しく解析し、胎盤での機能についても明らかにするため、マウス購入費、DNAメチル化解析費用に使用する。また、これらの結果を用いて成果発表も行う。未使用金は平成26年度分と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] RNA sequencing-based identification of aberrant imprinting in cloned mice.2014

    • 著者名/発表者名
      Okae H, Matoba S, Nagashima T, Mizutani E, Inoue K, Ogonuki N, Chiba H, Funayama R, Tanaka S, Yaegashi N, Nakayama K, Sasaki H, Ogura A, Arima T.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 23 ページ: 992-1001

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stability of the abnormal imprinting of human induced pluripotent stem cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Hiura H, Toyoda M, Okae H, Sakurai M, Miyauchi N, Sato A, Kiyokawa N, Okita H, Miyagawa Y, Akutsu H, Nishino K, Umezawa A, Arima T.
    • 雑誌名

      BMC Genetics.

      巻: 14 ページ: 32

    • DOI

      10.1186/1471-2156-14-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DNA methylation errors in imprinting disorders and assisted reproductive technologies.2013

    • 著者名/発表者名
      Chiba H, Hiura H, Okae H, Miyauchi N, Sato F, Sato A, Arima T.
    • 雑誌名

      Pediatrics international.

      巻: 55 ページ: 542-549

    • DOI

      10.1111/ped.12185

    • 査読あり
  • [学会発表] Single-base resolution DNA methylomes of human germ cells and blastocysts2013

    • 著者名/発表者名
      ArimaT
    • 学会等名
      11. International Human Epigenome Consortium (IHEC) Annual Meeting
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] ARTと先天異常

    • 著者名/発表者名
      有馬隆博
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会 第58回大会
    • 発表場所
      仙台
    • 招待講演
  • [学会発表] ARTとゲノムインプリンティング

    • 著者名/発表者名
      有馬隆博
    • 学会等名
      第58回日本生殖医学会 学術講演会・総会
    • 発表場所
      神戸
  • [学会発表] 基礎から臨床へ、ARTとエピゲノム

    • 著者名/発表者名
      有馬隆博
    • 学会等名
      第31回日本受精着床学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      別府
    • 招待講演
  • [学会発表] 生殖領域におけるエピジェネティクス研究の最前線

    • 著者名/発表者名
      有馬隆博
    • 学会等名
      第54回日本卵子学会
    • 発表場所
      東京
    • 招待講演
  • [学会発表] 生殖補助医療と小児科医療の接点

    • 著者名/発表者名
      有馬隆博
    • 学会等名
      第116回日本小児科学会学術集会
    • 発表場所
      広島
    • 招待講演
  • [図書] 臨床婦人科産科2013

    • 著者名/発表者名
      濱田裕貴、岡江寛明、有馬隆博
    • 総ページ数
      8(98-105)
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 遺伝子医学MOOK25号2013

    • 著者名/発表者名
      千葉初音、岡江寛明、有馬隆博
    • 総ページ数
      6(49-54)
    • 出版者
      株式会社メディカルドゥ
  • [図書] 医学のあゆみ2013

    • 著者名/発表者名
      井原基公、有馬隆博
    • 総ページ数
      5(51-855)
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

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公開日: 2015-05-28  

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