研究課題
特定の親由来アレルの選択的発現様式を示すゲノムインプリンティング機構は、哺乳類の胚発生、分化に必須な現象である。哺乳類特有のGI機構と胎盤の存在は、胎盤組織におけるGI調節機構の生物学的重要性を示唆する『胎盤仮説』。申請者らは、次世代シークエンサー装置を用い、胎盤特異的GI遺伝子を網羅的に検索し、10種類の遺伝子を同定した(Okae et al. Hum. Mol. Genet. 2012)。これらの遺伝子は、胎盤形成過程で重要な機能を持つが(Schaeper et al. PNAS 2007 他)、何故胎盤組織だけにインプリントが存在するのか、その分子機構は明らかではない。体細胞クローンマウスは、胎盤肥大を典型的な特徴とする(Ogura et al. Nature Genet. 2002他)。体細胞の「細胞核のリプログラミング(初期化)」の異常、つまりエピジェネティックな修飾異常が胎盤形成に影響する。最近申請者は、クローン胎盤では、胎児性GI遺伝子は正常インプリントを維持するが、胎盤特異的GI遺伝子 (Gab1, Sfmbt2)では、異常を示す事を発見した。クローン胎盤に特有の胎盤特異的GI遺伝子のエピジェネティックな異常を解明することは、胎盤形成におけるGI機構の生物学的意義を明らかにする上で重要である。本研究では、胎盤における胎盤特異的GI遺伝子の役割を明らかにするため、エピジェネティックな分子機構と未分化維持に機能するシグナル伝達経路について解析した。また、クローンマウス胎盤では、胎盤特異的GI遺伝子のインプリント異常を確認し、核の初期化現象に重要な役割を果たす事が判明した。
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Hum Mol Genet.
巻: 23 ページ: 992-1001
Reproductive Medicine and Biology.
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