研究課題
挑戦的萌芽研究
ヒトパピローマウイルス (HPV) がヒトに感染した場合には、抗原提示細胞がHPV由来の抗原を自身のHLAクラス II分子といっしょに複合体として細胞膜上に提示することによってヘルパーT 細胞が誘導される。HPV由来の抗原をうまく提示できるHLAアレルを保有する宿主において頸がん発症リスクが低下し、うまく抗原提示できないHLAアレルを保有する宿主においては頸がんリスクが上昇すると考えられている。子宮頸がんになりにくいHLA クラスIIアレルとしてDRB1*1302(日本人では約10%に存在)は世界的に共通であるが、なりやすいHLAクラスIIアレルはDRB1*1501, DRB1*1502, DQB1*03032などが比較的普遍的であるものの、民族によって差がある。感染から発癌がんまでのどの過程にHLA クラスIIアレルが関与するかはわかっていないうえに、日本人における子宮頸がんとHLAに関連に関するデータはほとんどない。1199名の日本人女性 [健常人女性312名、子宮頸部軽度前がん病変 (CIN1/2)患者519名、子宮頸がん患者276名]のHLA クラスIIタイプを本年度までに確定した。 子宮頸部発がんに対して予防的に働くとの報告が多いHLAクラスII DRB1*1302のアリル頻度は、健常人女性 (12.4%)とCIN1/2患者 (12.2%)では全く差が見られなかったが、頸がん患者では6.9%と有意に頻度が低かった。このことは、HLAクラスII DRB1*1302アレルがHPV感染から前がん病変を形成する過程ではなく、前がん (CIN)病変から浸潤がんへ進展する過程で頸がんリスクを低下することが示唆される。DRB1*1302以外では、健常人女性と比較してCIN患者や頸がん患者でアリル頻度が有意に上昇・減少するHLAクラスIIアリルは見られなかった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度までに計画していたHLAクラスIIアレルのタイピングは終了したが、予定していたHPVタイピング検査がまだ一部終了していない。HLAクラスI解析の追加が一部必要である。
今後はHPVタイピング検査を完了させてHPVタイプを確定させる。頸がん患者の一部では、ホルマリン固定後のパラフィン切片から抽出したDNAを用いてHPVタイピング検査を行い、HPV タイプの確定できる症例を増やす。健常人女性と比較してCIN患者や頸がん患者でアリル頻度が有意に上昇・減少するHLAクラスIIアリルはDRB1*1302以外では見られなかったが、頸がんリスクと関連するアリルはHPVタイプ特異的であるかもしれない。HPVタイプ別に頸がん・CIN患者で有意にアリル頻度が上昇・低下するアリルがないかを解析する。また、HLAクラスIについてもタイピングを行い、HLAクラスIIと同様に頸がんリスクとの関連について解析を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (22件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (26件)
最新がん薬物療法学
巻: 72(2) ページ: 417-424
プリンシプル産科婦人科学
巻: - ページ: 431
巻: - ページ: 734-741
J Virol Methods,
巻: 188(1-2) ページ: 83-93
doi: 10.1016/j.jviromet.2012.10.014.
J Obstet Gynaecol Res.
巻: 39(1) ページ: 7-17
doi: 10.1111/j.1447-0756.2012.01977.x.
J Obstet Gynecol Res
巻: 39(1) ページ: 330-335
doi: 10.1111/j.1447-0756.2012.01893.x.
Human Pathology
巻: 44(2) ページ: 199-207
doi: 10.1016/j.humpath.2012.05.005.
Int J Clin Oncol
巻: 18(6) ページ: 1091-1101
doi: 10.1007/s10147-012-0486-5.
Cancer Science
巻: 104(4) ページ: 465-472
doi: 10.1111/cas.12106.
Thrombosis Research
巻: 131(4) ページ: e127-132
doi: 10.1016/j.thromres.2013.01.027.
Gynecol Oncol
巻: 129(1) ページ: 54-57
doi: 10.1016/j.ygyno.2012.12.040.
J Magn Reson Imaging
巻: 38(4) ページ: 794-801
doi: 10.1002/jmri.24058.
Br J Cancer
巻: 108(10) ページ: 1957-1963
doi: 10.1038/bjc.2013.179.
巻: 109(6) ページ: 1703-1710
doi: 10.1038/bjc.2013.455.
Gynecol. Oncol.
巻: 131(3) ページ: 574-580
doi: 10.1016/j.ygyno.2013.08.036.
巻: 109(7) ページ: 1760-1765
doi: 10.1038/bjc.2013.521.
Springerplus
巻: 2 ページ: 618
doi: 10.1186/2193-1801-2-618. eCollection 2013
産婦人科手術
巻: 24 ページ: 69-75
EBM 婦人科疾患の治療
巻: - ページ: 240-245
東京都医師会雑誌
巻: 66(7) ページ: 36-40
臨床婦人科産科
巻: 67(8) ページ: 798-804
プロメテウス婦人科がん最新医療(産婦人科の実際)臨時増刊号
巻: 62(12)) ページ: 1624-1631