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2013 年度 実施状況報告書

胎盤におけるNeuregulin-1発現と胎児肺成熟促進作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25670698
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関信州大学

研究代表者

菊地 範彦  信州大学, 医学部附属病院, 助教 (50447728)

研究分担者 塩沢 丹里  信州大学, 医学部, 教授 (20235493)
大平 哲史  信州大学, 医学部附属病院, 講師 (90397315)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードNeuregulin-1 / 胎児肺成熟 / 胎盤絨毛内血管内皮細胞 / 臍帯静脈血管内皮細胞 / 低酸素 / 妊娠高血圧症候群
研究概要

Neuregulin-1(NRG-1)はII型肺胞上皮細胞のerbB受容体を介してサーファクタント産生を促すことで胎児肺成熟に関与していることが報告されているが、我々はこれまでに胎盤絨毛内の血管内皮細胞でNRG-1β1が産生されていることを見出した。そこで妊娠22週~34週で分娩となった母体妊娠高血圧症候群(PIH)症例12例の胎盤と、同じく妊娠22週~34週で分娩となった非PIH症例12例の胎盤において、幹絨毛内に認められる径100μm以上の血管内皮におけるNRG-1β1の蛋白発現を免疫組織学化学的に比較・検討した。染色強度により染色スコアを設定して比較したところ、幹絨毛血管内皮のNRG-1β1染色スコアはPIH群が非PIH群よりも有意に高く、PIH症例でNRG-1β1発現が増強していた。またヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)をそれぞれ21%酸素、5%酸素、2%酸素環境下で72時間培養し、HUVECの蛋白を抽出してWestern blottingでNRG-1β1発現を比較した。HUVECにおけるNRG-1β1蛋白発現は、21%酸素下よりも5%酸素下、さらには2%酸素下で増強していた。また血漿におけるNRG-1β1の定量をELISA法で確立し、分娩時臍帯静脈血中(妊娠23週~40週)のNRG-1β1を定量して母体PIH群(21例)と非PIH群(31例)で比較した。NRG-1β1濃度は母体PIH群が非PIH群よりも有意に高く(PIH群2.18±1.30 ng/mL、非PIH群1.33±0.73 ng/mL; p<0.05)、母体PIH症例でNRG-1β1濃度が増加していた。以上から、PIHに代表される低酸素環境の臍帯-胎盤系では、胎盤絨毛内血管内皮細胞および臍帯静脈血管内皮細胞にNRG-1β1が強発現し、胎児に対する肺成熟促進に寄与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでにPIHに代表される低酸素環境の臍帯-胎盤系におけるNRG-1β1の強発現は十分に検討された。ただし、母体血中のNRG-1β1濃度を定量して母体PIH群と非PIH群で比較・検討することなど、さらに進めていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

基本的には計画書に沿って研究を進めていく。25年度に続き、母体血中Neuregulin-1値を測定する。また、絨毛細胞や絨毛癌細胞での発現もRT-PCR法やELISA法で検討していく。マウス胎仔II型肺胞上皮の細胞培養株を樹立し、recombinant Neuregulin-1を添加することでNeuregulin-1の肺成熟作用を解析する。研究は教室および大学の設備を利用して行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Lipocalin2 enhances the matrix metalloproteinase-9 activity and invasion of extravillous trophoblasts under hypoxia.2013

    • 著者名/発表者名
      Kobara H, Miyamoto T, Suzuki A, Asaka R, Yamada Y, Ishikawa K, Kikuchi N, Ohira S, Shiozawa T.
    • 雑誌名

      Placenta

      巻: 34(11) ページ: 1036-43

    • DOI

      10.1016/j.placenta.2013.08.004. Epub 2013 Aug 20.

  • [雑誌論文] Placental mesenchymal dysplasia: chronological observation of placental images during gestation and review of the literature.2013

    • 著者名/発表者名
      Ohira S, Ookubo N, Tanaka K, Takatsu A, Kobara H, Kikuchi N, Ohya A, Kanai M, Shiozawa T.
    • 雑誌名

      Gynecol Obstet Invest.

      巻: 75(4) ページ: 217-23

    • DOI

      10.1159/000350661. Epub 2013 Apr 13. Review.

  • [学会発表] 胎盤絨毛細胞の老化とその制御機序2013

    • 著者名/発表者名
      石川香織、菊地範彦、安藤大史、浅香亮一、山田 靖、小原久典、大平哲史、宮本 強、岡 賢二、塩沢丹里
    • 学会等名
      第18回生殖医学フォーラム
    • 発表場所
      ホテル翔峰(長野県松本市)
    • 年月日
      20130524-20130525
  • [学会発表] 胎盤絨毛の血管内皮におけるNeuregulin-1β1発現の検討2013

    • 著者名/発表者名
      大平哲史、石川香織、小原久典、高津亜希子、菊地範彦、金井 誠、塩沢丹里
    • 学会等名
      第65回日本産科婦人科学会学術講演会
    • 発表場所
      ロイトン札幌他(北海道札幌市)
    • 年月日
      20130510-20130512
  • [学会発表] 信州NIPTワーキンググループの活動について

    • 著者名/発表者名
      菊地範彦
    • 学会等名
      2013年度信州大学および信州大学大学院合同授業・市民公開講座「母体血を用いた新しい出生前診断(無侵襲的出生前遺伝学的検査:NIPT)をめぐって」
    • 発表場所
      信州大学(長野県松本市)

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公開日: 2015-05-28  

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