研究課題/領域番号 |
25670700
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
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研究分担者 |
杉原 一廣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00265878)
谷口 千津子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20397425)
田村 直顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90402370)
内田 季之 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90570234)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 常位胎盤早期剥離 / 絨毛膜下血腫 / PAI-1 / 切迫流産 / 切迫早産 |
研究概要 |
産科補償制度の年次報告では脳性麻痺の原因として常位胎盤早期剥離(早剥)がもっとも頻度の高い疾患となっている。世界中の種々の報告でも早剥は周産期死亡の主たる疾患となっている。従来早剥の原因として妊娠高血圧症候群が注目されていたが、現在では妊娠高血圧症候群による早剥は少なく70%以上は原因不明と言われている。この原因不明の早剥が非常に多いにも係わらず、その原因は全く解明されていない。また絨毛膜下血腫は早剥の近縁疾患であるが、早産の大きな原因である。我々は妊娠の維持には胎盤と脱落膜の間に存在するフィブリノイド層が重要であることを見出している。またプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)の欠損症妊婦ではこのフィブリノイド層が十分形成されず、早剥あるいは絨毛膜下血腫が発生することが明らかになっている。PAI-1低下症が早剥・絨毛膜下血腫に関与するとの仮説のもと平成25年度は次の研究を行った。1)市販のトータルPAI-1測定キットで多数例の妊婦を対象に前方視野的研究を行った。具体的には初期妊婦健診の血液を用いてPAI-1を測定し、早剥・絨毛膜下血腫の発生と妊娠初期のPAI-1濃度との関連を検討した。 平成26年度3月までに約1100例の妊婦の採血を行い、約400例が分娩を終了した。中間解析を行ったところ、PAI-1値はBMIが低い群に有意に多かった。PAI-1低下例(10ng/mL以下)は約1割存在した。PAI-1低下例では切迫流産の発生が高い傾向にあった。またPAI-1低下例では子宮収縮のない頸管長短縮型の切迫早産に多いことが示された。切迫流産にどの程度の絨毛膜下血腫が含まれているか、また子宮収縮のない頸管長短縮型の切迫早産が早剥のリスクか否かについて現在検討中である。1100例すべての分娩が終了するのは平成26年秋なので今年度中には最終解析が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前方視的研究は平成26年3月に1100例の血液を採取した。当初の1000例の目標は達成された。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 1,当初目標の1000例の血液採取は終了したので、トータルPAI-1を全例で測定し臨床経過との関連を検討する。 2.トータルPAI-1はPAI-1活性を見るものではないのでPAI-1活性測定系を確立する。採取した血液でPAI-1活性を測定しトータルPAI-1との比較(臨床転帰との比較も含む)を行う。
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