研究課題
挑戦的萌芽研究
本科研費の目的は、卵巣癌における薬剤の獲得耐性化そのものが種々のEMT関連分子やmicroRNAの発現抑制を介して腹膜播種を増加させる負のスパイラル現象を解明することである。研究初年度にあたる本年度の研究成果は予備研究の確認とともに以下の通りである。1. TGF-betaによるEMTを誘導させた中皮細胞 (CAM)では正常中皮細胞と比較して種々の卵巣癌細胞株との接着能が亢進した。2. 中皮-腫瘍の共培養において、CAMとの共培養では腫瘍細胞の増殖能およびMMP2/9プロモーター活性が有意に亢進した。3. CAMでは正常中皮と比較してendogenousなmicroRNA-200b、200aおよび429 (miR-200ba/429)の発現抑制が観察されたが、exogenousにこれらmicroRNAを添加すると上記、1-3の効果がキャンセルされた。4.中皮におけるmiR-200ba/429のoverexpressionが、腫瘍の接着能および、増殖能を顕著に抑制した。5.ファイブロネクチン (FN1)の3’UTRに対するluciferase reporter assayおよび、発現解析、FN1自身の機能阻害などの結果から、miR-200ba/429が直接FN1の発現を抑制することで、TGF- beta誘導性、腫瘍の転移浸潤能の亢進効果がキャンセルされた。6. in vivoでmiR-200ba/429の腹膜播種抑制効果を検討するために、アデノウイルスベクター(AD-miR-200ba/429)を作成した。腹膜播種モデルのヌードマウスへAD-miR-200ba/429を投与したところ、顕著に腹膜播種が抑制された。これらの結果によって、miR-200ファミリーの腹膜中皮への発現が腫瘍-中皮間の微小環境に変化を誘導し、腹膜播種の抑制の治療ターゲットとなり得る可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
本年は動物実験まで終了し、これらの結果によって、miR-200ファミリーの腹膜中皮への発現が腫瘍-中皮間の微小環境に変化を誘導し、腹膜播種の抑制の治療ターゲットとなり得る可能性が示唆されるという結果が得られた。現在、本年度の結果をもとに論文作成を行うことができた(現在投稿中)。したがって、概ね順調に進展しているといえる。
中皮細胞が不死化されていないため、その都度のprimary cultureで得られ、研究に使用されている。研究の効率化のためにも不死化細胞を作成する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Carcinogenesis
巻: in press ページ: in press
Cancer Sci.
J Palliat Med.
巻: 17 ページ: 325-30
10.1089/jpm.2013.0366
Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol.
巻: 175 ページ: 97-102
10.1016/j.ejogrb.2014.01.014
J Gynecol Oncol.
巻: 25 ページ: 43-50
10.3802/jgo.2014.25.1.43.
Int J Cancer
Cancer Res
巻: 73 ページ: 1581-90
10.1158/0008-5472.CAN-12-2377
PLoS One.
巻: 8 ページ: e81576
10.1371/journal.pone.0081576.
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/obgy/