本科研費の成果は、卵巣癌における薬剤の獲得耐性化そのものが種々のEMT関連分子やmicroRNAの発現抑制を介して腹膜播種を増加させる負のスパイラル現象を解明したことである。本科学研究費課題において得られた最大の知見はマウス腹膜播種モデルにおけるAD-miR-200ba/429(アデノウイルスベクター)の投与が、顕著に腹膜播種を抑制し生存率の延長に寄与した。これらの結果によって、miR-200ファミリーの腹膜中皮への発現が腫瘍-中皮間の微小環境に変化を誘導し、腹膜播種の抑制の治療ターゲットとなり得る可能性が示唆された。
|