研究課題
本研究は「血小板から放出される因子によって子宮内膜上皮の遊走と上皮構造の再構築およびEVTの遊走とその血管内皮化が誘導される」という新しい作業仮説に基づいており、この新しい概念から「上皮再構築の誘導機構の異常が子宮内膜症をはじめとする婦人科疾患の発症を、またその機構からの逸脱が癌細胞の進展を誘導している」という推察のもとに計画された。その結果、血小板中のchemokineが子宮内膜上皮細胞と子宮体癌由来Ishikawa細胞およびEVTと絨毛癌由来JEG-3細胞遊走を促進すること、その一方で血小板の活性化に伴い剥離・放出される細胞膜表面の機能分子を含んだ細胞膜小粒子 (microparticle) は正常子宮内膜上皮細胞とEVTの遊走を反対に抑制し、さらに上皮の再構築を亢進する可能性が示された。驚いたことに細胞膜小粒子による作用は癌細胞株では観察されず、これらから血小板は局所でchemokineなどからなる広い範囲に至る活性因子と細胞膜小粒子からなる比較的狭い範囲に至る2つのgradientを形成し、上皮細胞の遊走と上皮化を誘導すること、さらにそれらdualな作用に対す反応異常が疾患の原因になるとの新しい概念を提示するに至った。これらの成果は種々の婦人科疾患の発症や癌の進展に対する新しい治療法の開発に貢献する可能性があり、今後も解析すべき課題であると考えられる。
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