研究概要 |
プロテオミクス解析による羊水特異物質の確認試験を行った。満期妊婦陣痛未発来(予定帝王切開)および満期妊婦陣痛発来妊婦の各5 例から帝王切開時に羊水・母体血・膣分泌物を採取し保存した。これらのサンプルを用いて、2 次元電気泳動後質量分析法により羊水特異物質の確定を行った。さらに我々が予備実験で同定した44 種類のタンパクの羊水特異性の確認試験を再度行い、候補タンパクを絞った。 母体血中に対して羊水濃度の高いタンパク上位10 位の選別を行った。最近、我々が同定した羊水特異物質(羊水/母体血中比がきわめて高い)のうちでELISA が市販されている物質として、IL-6, SCC, IGFBP-1, Osteopontin, CA125, STN がある。プロテオミクス技術により測定した羊水/母体血中比はそれぞれ約1000, 1000, 150, 100, 100, 50 であった。これ以外に羊水特異物質として同定されたPINP, MCA, BNP, SOD, PSA, TPS, IL-8, POMC, hCGb,ActivinA, PRL, sTNFp55, CgA, AFP 等について抗体が市販されているものについて検討し、ドットブロットアッセイを行い羊水/母体血中比の高いタンパク上位10 位を確定した結果、IL-6 、IGFBPとSCC が有力候補であった。IL-6とIGFBPは陣痛の有無により濃度差を生じた。以上の結果、SCCA1が羊水特異的タンパクとして同定、陣痛により影響を受けないことも判明した。以上より、羊水塞栓症マーカーの特異的マーカーとしてSCCA1を選定した。
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