研究課題
昨年度は脱細胞化子宮マトリックス(DUM)が同種同系ラット間で子宮組織再構成の足場としてin vivoで機能することを明らかにした.本年度は,将来の臨床への応用を念頭において、DUMを異系統ラットに同種移植しても機能的な子宮再生が可能か検証した.Sprague-Dawleyラット(SD)子宮に界面活性剤を灌流しDUMを作成した.Wistar系統のレシピエントラットの子宮角を部分切除し,SD由来DUM或いは子宮同種移植片(Uterine allograft;UtA)を欠損部に移植した.5週後に移植部位の再生組織を切除し,リアルタイムPCRを用いてCasp3,Esr1,Esr2,Pgr各遺伝子発現の定量解析を行った.移植5週後,DUM移植部位には子宮内膜と筋層を含む子宮組織が再生しており,免疫拒絶を疑う所見は認められなかった.一方,UtA移植部位には線維化が認められ,系統立った子宮再生に至らなかった.アポトーシスマーカーであるCasp3遺伝子発現量はUtAと比較してDUMにおいて有意に低値であった(p<0.01).ホルモン受容体であるEsr1,Esr2,Pgr各遺伝子発現量はUtAと比較してDUMにおいて有意に高値であった(p<0.01).DUMを同種移植すると,免疫拒絶を受けずにホルモン応答性を持った子宮組織の再生を促進する事が判明した.この結果は,将来的な臨床応用に際して,子宮性不妊患者に別個体由来のDUMを移植し機能的な子宮再生を行う事ができる可能性を示唆している.
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