研究課題/領域番号 |
25670709
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
|
研究分担者 |
林 正美 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00551748)
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10625502)
金村 昌徳 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40298782)
恒遠 啓示 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70388255)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70454543)
兪 史夏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80625674)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90278531)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 卵巣癌 / シスプラチン / CD24 / 高分子ミセル |
研究実績の概要 |
概要:シスプラチン耐性卵巣癌の細胞株CaOV3, A2780CP, RMG-1において抗癌剤耐性性獲得の因子としてCD24がH25年度に同定された。CD24は細胞膜上に存在するGPIアンカー蛋白であり、抗癌剤耐性に関与するMDR-1遺伝子の発現増強に寄与していた。そこでCD24特異的抗体を外郭に搭載したシスプラチン内包高分子ミセル(CDDP-CD24-LIPO)を開発し、治療応用へ向けた基礎的検討を行った。 【方法】卵巣癌細胞株Caov-3を磁気細胞分離法でCD24陽性細胞を抽出後、ヌードマウスへ移植し腹膜播種モデルを作製した。生食、CDDPまたはCDDP-CD24-LIPOを静注し、1)薬物の組織移行の特異性を検討するために、播種病巣、腎臓、肝臓におけるCDDP残留濃度の測定と2)抗腫瘍効果の評価のために、各群の生存期間の比較をおこなった。 【成績】1)播種病巣のCDDP残留濃度は24時間後48時間後ともにCDDP-CD24-LIPO群がCDDP群に対して有意に高かった。CDDP-CD24-LIPOの腎臓における濃度は低く腎毒性軽減が考えられる一方、リポソームが分解される肝臓への集積が認められたが、肝細胞の脂肪変性、巣状壊死に関して両群に差を認めなかった。2)全生存期間は生食群 46.8日、CDDP群 47.8日に対して、CDDP-CD24-LIPO群71.2日と有意に延長を認めた。 【結論】CDDP-CD24-LIPOはCDDPと比べ難治性卵巣癌の播種病巣における組織移行性が高く、優れた治療効果を認めた。CDDP-CD24-LIPOを用いた新たな卵巣癌分子標的療法が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗癌剤耐性性卵巣癌の耐性化機構の一つとして、CD24を表現マーカーとする方法を確立した。さらにCD24陽性卵巣癌の機能解析から治療標的まで、モデルマウスを用いた検証も始まっている。
|
今後の研究の推進方策 |
モデルマウスを用い、CD24を標的とした治療法の妥当性を確立し、学会発表、論文発表を行なう予定である。計画はおおむね順調である。
|