研究実績の概要 |
我々は頭頸部癌患者の頸部脂肪組織内にリンパ球様の細胞群を初めて見出し、脂肪関連リンパ球集族と命名した(2007 年)。我々は、リンパ節とも呼べないようなこれらの細胞群の中に扁平上皮癌が増殖している稀な症例を見出したことにより、癌のリンパ節の重要なメカニズムを解明できるのではないかと仮説をたて検討してきた。癌に限れば原発巣からのサイトカイン流入によって、爆発的なリンパ節腫大、リンパ節の多発増殖を導く全く新しいモデルを提唱することを目的とする。 まず初年度に1.手術後検体の作成準備1癌の原発巣 2.リンパ節 3.頸部脂肪組織の3種類に標本を分類して病理検査を行う 。最終的に残った脂肪組織を固定後に細切して脂肪の間隙にある頸部脂肪関連リンパ球集族(頸部FALC)を抽出し保存、検討の準備を行っていた。 頸部脂肪関連リンパ球集族の機能を明らかにするために、摘出した脂肪組織をパラフィンブロックからCD3, CD20, CD79a、CD44、Nanogの抗体を用いた免疫染色を行いFALCの性質を確認した。当初計画されていた新鮮凍結切片を作成しレーザーマイクロダイセクション法により頸部脂肪関連リンパ球集族組織のみを回収することを検討したがパラフィンブロックからのRNA抽出はRNAの分解が進んだ状態であり、正確な検討が担保できないことがわかった。RNAの分解がなるべく進行していない状態が望ましいため、生検体をRNA laterで凍結保存し、TruSeq RNA Access Library Prep Kitを使用し、RNA抽出後、最終的にFALCについて網羅的な遺伝子解析を行うことができた。 脂肪関連リンパ節で発現している遺伝子のプロファイルを作成して発現が亢進している遺伝子を検討した。
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