SATB1は、ゲノムのマスターレギュレーターとして1000種類以上の遺伝子発現の上流に位置する。SATB1発現により、乳癌では癌の増殖・浸潤・転移に関与する多数の遺伝子を活性化する。しかし、頭頸部癌におけるSATB1発現は研究されていない。 本研究では、上咽頭癌組織において、SATB1の発現が高いと高転移性となる事が判明した。また、EBウイルスLMP1導入した細胞ではSATB1が誘導され、形質転換とアポトーシス抵抗性に関与していた。上咽頭癌以外の頭頸部癌組織の解析では、中咽頭癌でSATB1発現が亢進していた。これらから、SATB1は頭頸部癌で癌の増殖・浸潤・転移に関与することが示唆された。
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