オートファジーは細胞内蛋白分解系の重要な機構で、恒常性維持のために不要な蛋白等を順次分解し、再利用する役割をしている。癌細胞は代謝要求性が高く、オートファジーによる自己分解を介したアミノ酸や脂肪酸、糖質の供給は、その生存、増殖に寄与する。上咽頭癌組織を用いた実験で、化学療法前後におけるオートファジー関連タンパクのBeclin1の発現を免疫組織学的に検討したところ、化学療法前と比べ化学療法後でオートファジーが増加していることが分かった。さらに上咽頭癌細胞株を用いた実験で、頭頸部癌のキードラッグであるシスプラチンを加え、そこにオートファジー抑制物質を加えると、細胞死が増えるという結果を得た。
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