研究課題
本年は蝸牛の回転別に発現する遺伝子および蝸牛の回転別に異なるスプライシングバリアントの網羅的解析を実施した。具体的には、マウスに麻酔を行い、断頭後すぐに内耳を摘出し速やかにRNA-laterへ浸透させた。RNA-later内で顕微鏡下に蝸牛骨壁を除去し、回転別(3分割)に蝸牛膜迷路を取り出し、QIAGEN RNeasy Mini Kitを使用し、total RNAを抽出した。Agilent 2100 bioanalyzerにて抽出したRNAのクオリティチェックを行い、SurePrint G3 Exon マイクロアレイを使用して、各遺伝子の全エクソンの回転別の発現量を算出し、その発現パターンにつき比較検討を行った。また、回転別に発現量に変化のあった遺伝子については、さらに定量RT-PCRを行い、データの裏付けを行った。その結果、マウス蝸牛の回転別に発現量を異なる遺伝子を複数同定した。その発現パターンは各遺伝子変異により引き起こされる難聴の特徴的な聴力像を支持するものであり英論文にまとめた(Yoshimura et al, 2014)。また、蝸牛回転別に遺伝子発現量に差が認められた遺伝子に関して、経年的変化による差異を明らかにする事を目的に、週齢の異なるマウスで同様の検討を行い、蝸牛回転別に遺伝子発現量に差が認められた遺伝子に関して加齢変化によりどのような発現量の変化が起こるかに関して検討を行った。その結果、複数の進行性難聴の原因遺伝子の発現量が加齢とともに低下することが明らかとなった。また、加齢に伴うスプライシングバリアントの量的変化についても引き続き検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、マウス蝸牛におけるマイクロアレイ解析を実施し、その検討を行うことができ、また英論文としてその成果を報告してきている。
平成27年度は、いままで得られたマイクロアレイ解析結果に基づき、マウス蝸牛の回転別に発現量を異なる遺伝子の経年的変化やスプライシングバリアントについても詳細な検討を行う予定である。特に、前年度までに明らかとなった回転別に発現量がことなる既知難聴原因遺伝子に関しては重点的に解析を行う計画である。
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