前年度までの解析により、蝸牛毎に発現の異なるスプライシング・バリアントの存在を確認した遺伝子については、内耳における局在を明らかにすることにより、より詳細な機能が推定可能であるため、in situ hybridizationおよびレーザーマイクロダイセクションによりその発現部位を同定を試みた。具体的には、 マウスを麻酔下におき、4%パラホルムアルデヒドによる経鼓膜及び経心灌流固定を行って側頭骨を固定する。マウスを断頭して内耳を摘出した後、OCTコンパウンドで包埋して凍結切片を作成する。目的とする遺伝子をターゲットとしたDIG標識DNA Probeを使用してin situ Hybridizationを行い、蝸牛での局在を明らかにする。また、同様の手法で準備した凍結切片を用いて、レーザーマイクロダイセクションを行い、各構造別(有毛細胞,蓋膜,血管条,らせん神経節など)よりmRNAを抽出する。mRNAを逆転写酵素でcDNAに変換した後塩基配列を確認し、in situ hybridizationの結果を確認を行った。また得られた結果をもとに、どの構造にいかなるスプライシング・バリアントが存在するかを解析し、遺伝子変異の種類により難聴の臨床像が異なる理由についての検討を行った。 成果は2016年Association for Research in Otolaryngology学会(2016年2月San Diego)で学会報告した。
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