研究課題
本研究では、スフィンゴミェリン(SM)によるKCNQlの調節機構を解明することを目的にしている。従来の知見では、SMがKCNQlに直接作用するか否か不明であるため、単一の細胞でスフィンゴミェリン合成酵素(SMS1)の活性を操作して、KCNQ1/KCNE1活性に変化が見られるかを検討した。カリウムチャネルの発現レベルが低いHEK293T細胞をモデルに用いた。昨年まで、1)この細胞へのKCNQ1/KCNE1電流の導入、2)SMS1阻害剤であるD609による電流密度の低下と電流の性質の変化、3)SMS1発現を特異的に抑制するshRNAによる電流密度の低下、の三つを示し、SMS1活性がKCNQ1/KCNE1チャネルの性質を変えずに、密度を増加させることが強く示唆された。さらに、そのメカニズムを調べるために、SMS1が触媒する反応の産物の一つであるDAGに注目し、DAG依存性キナーゼPKDの役割を調べたところ、電流密度を変えることが判明した。また、PKD阻害剤とSMS1shRNAの効果は非加算的であったため、PKDはSMS1の下流で働くと示唆された。本年度において、これらのことをさらに確かめるために、別のPKD阻害剤を用いても同様な結果が得られることを示し、また、DAGアナログであるPMAの効果を調べた。PMAは電流密度を変えなかった。これは恐らくPMAはPKDのみならず、PKCも活性化させるためと考えられる。研究のすべての結果はAmerican Journal of Physiology-Cell Physiologyに受理され、公表されることとなった。
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American Journal of Physiology-Cell Physiology
巻: (in press) ページ: (in press)
Neurosci Res
巻: 99 ページ: 55-61
10.1016/j.neures.2015.06.001
http://srv02.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/physiol2/publications.html