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2013 年度 実施状況報告書

In vitro内耳発生システムの開発とWntシグナルによる内耳発生機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25670720
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

吉川 正英  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50230701)

研究分担者 王寺 幸輝  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50343421)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード内耳 / 発生 / 器官培養 / 細胞培養 / 有毛細胞 / Wntシグナル / 耳科学
研究概要

内耳の発生および構造は複雑で、内耳研究に取り組むハードルを高める要因である。本研究では、内耳の発生を試験管内で再現・模倣し、それらの細胞が形態形成を行うプロセスを解明すべく、内耳幹細胞(耳胞細胞otic vesicle cells:OVC)を用いたin vitro内耳発生モデルの構築を目的とした。
まず初年度(平成25年度)は、耳胞細胞(OVC)の単離・培養に着手した。マウス胎児からマイクロダイセクションにより耳胞細胞(OVC)を単離し、培養条件を検討後、増殖活性の高いcloneを選択し、長期間培養可能な株化細胞(OVC1)を樹立した。遺伝子解析の結果、OVC1は、神経幹細胞のマーカーを発現し、内耳内成熟細胞のマーカーの発現は認められない未熟な細胞であることが明らかとなった。また、内耳細胞の中でも特に難聴に関わる内耳有毛細胞に着目し、特異的なマーカー遺伝子(Math1)のプロモーター活性により蛍光タンパク質を発現可能なplasmid constructを作成した。この遺伝子をOCV1細胞へtransfectionし、薬剤耐性細胞(M-OVC1)を樹立した。続けて、このM-OVC1細胞をin vitro培養系で各種Wntを添加培養した結果、ある種のWntが増殖活性を抑制し、分化を誘導することが明らかとなった。
次年度(平成26年度)、OVC1細胞を用いた内耳細胞への分化プロセスをより精査し、さらに、多細胞との共培養による分化誘導の効率化およびWntシグナルの意義を検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表および論文発表での成果報告を行っているため。

今後の研究の推進方策

次年度(平成26年度)では、M-OVC1とエフェクター細胞(EFC)の共培養により内耳初期形成モデルを構築し(in vitro内耳発生システム)、さらに、Wntシグナルならびに細胞間ネットワークの影響を細胞/組織レベルで、時間的・空間的に可視化・解析することで、内耳形成メカニズムを解明する。
具体的には、内耳の発生を模倣するに当たって、M-OVC1と、ある種のエフェクター細胞(EFC)を混合培養することで、各種Wntシグナルの影響を解析する。また、樹立したM-OVC1細胞およびエフェクター細胞(EFC)を蛍光標識することで分別可能としたこれらの細胞を混合培養し、複雑な内耳初期発生の影響を精査する。さらに、内耳細胞分化・発生におけるWntの影響を調べるため、Wntをin vitro培養システムに取り入れることで、内耳発生への影響を精査する。FACSあるいはレーザーマイクロダイセクションにより細胞分離・分取し、リアルタイムPCR、DNA arrayなどを用いた遺伝子解析を行い、発生した内耳細胞間のキャラクタリゼーション、内耳形成における分化プロセスを解析する。

次年度の研究費の使用計画

本研究計画の後半(平成26年度)において、内耳発生に関わる遺伝子変化を詳細に解析する目的で、DNA array等、受託研究費および抗体などの消耗品購入が予想された。それらは高額になると考えられたため、本研究計画の前半(平成25年度)の研究費用をできるだけ抑えるように腐心した。
平成25年度は、細胞材料の準備やその維持のために、培養液やプラスチックシャーレ等の消耗品購入費用が生じたが、計画的かつ必要最小限の量を購入することで、繰越金を捻出した。本年度(平成26年度)、DNA arrayなどの受託研究費が発生することも鑑み、繰越金を使用して更なる解析を進める。その際、本研究計画の前半に購入した消耗品を継続して使用することや、実験に必要な物品を計画的に追加購入することで、研究を遂行する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Cytotoxic human peripheral blood-derived γδT cells kill glioblastoma cell lines: implications for cell-based immunotherapy for patients with glioblastoma2014

    • 著者名/発表者名
      Nakazawa T, Nakamura M, Park YS, Motoyama Y, Hironaka Y, Nishimura F, Nakagawa I, Yamada S, Matsuda R, Tamura K, Sugimoto T, Takeshima Y, Marutani A, Tsujimura T, Ouji N, Ouji Y, Yoshikawa M, Nakase H
    • 雑誌名

      J Neurooncol

      巻: 116 ページ: 31-39

    • DOI

      10.1007/s11060-013-1258-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Induction of inner ear hair cell-like cells from Math1-transfected mouse ES cells2013

    • 著者名/発表者名
      Ouji Y, Ishizaka S, Nakamura-Uchiyama F, Wanaka A, Yoshikawa M
    • 雑誌名

      Cell Death Dis

      巻: 4 ページ: e700-e710

    • DOI

      10.1038/cddis.2013.230

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Canonical Wnts, specifically Wnt-10b, show ability to maintain dermal papilla cells2013

    • 著者名/発表者名
      Ouji Y, Nakamura-Uchiyama F, Yoshikawa M
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 438 ページ: 493-499

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.07.108

    • 査読あり
  • [学会発表] 皮膚上皮幹細胞の長期培養におけるWntシグナルの意義2014

    • 著者名/発表者名
      王寺幸輝、三須政康、中村(内山)ふくみ、吉川正英
    • 学会等名
      第13回 日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      20140305-20140306
  • [学会発表] Canonical Wnts, specifically Wnt-10b, exert an ability of maintaining dermal papilla cells2013

    • 著者名/発表者名
      Yukiteru Ouji, Masahide Yoshikawa
    • 学会等名
      第42回 日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(幕張市)
    • 年月日
      20131211-20131213
  • [学会発表] Differentiation of inner ear hair cell-like cells from Math1-transfected mouse embryonic stem cells2013

    • 著者名/発表者名
      Yukiteru Ouji, Fukumi Nakamura-Uchiyama, Akio Wanaka, Masahide Yoshikawa
    • 学会等名
      第36回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際展示場(神戸市)
    • 年月日
      20131203-20131205

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公開日: 2015-05-28  

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