研究課題/領域番号 |
25670723
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (80215946)
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研究分担者 |
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (70317220)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 末梢神経再生 / 反回神経 / 過誤再生 / 神経トレーサー / 筋電図 |
研究概要 |
本年度はまず反回神経切断し、反回神経を縫合することにより過誤支配モデルを作成し過誤支配の評価方法について検討した。 これらのモデルに対して喉頭の開大筋(後輪状披裂筋)および閉鎖筋(甲状披裂筋)へ神経トレーサーを挿入し運動神経の終着である疑核での過誤支配を確認した。また自律神経、感覚神経のトレーサーの終着である迷走神経節へのトレーサーの迷入も確認した。以上より過誤支配の原因としてかかげていた①運動神経線維に感覚神経線維、自律神経が迷入することによる過誤再生および②運動神経線維同士での非選択的再生による過誤再生を確認した。 また、新たな過誤再生の治療法を確立するために、治療薬投与の足場としてPGAコラーゲンチューブ(ナーブブリッジ)を切断部に挿入し再生が正常に起こるかどうかを検討した。組織学的には、直接反回神経を縫合した群と比較しチューブ挿入群の方が神経再生の軸索配列や末梢側における神経の太さや軸索数において改善が見られたが、喉頭の運動に関しては両者ともに機能改善は認めなかった。これは神経再生において過誤支配を改善しなければ反回神経において機能回復は得られないためと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経再生がおこっている(神経がつながっている)にも関わらず機能回復が起きない理由として①運動神経線維に感覚神経線維、自律神経が迷入することによる過誤再生および②運動神経線維同士での非選択的再生による過誤再生による可能性があることが検証できた。また、過誤再生の評価方法に関しては神経トレーサーを用いて、疑核および迷走神経節を評価することができた。筋電図に関しては呼吸性の同期に関しては機能回復がほとんど見られていないため確認はできてはいないが、神経伝導速度などに関しては評価できた。組織学的検討に関しては喉頭の筋繊維の組織学的比較や切断神経末梢側の軸索数や径などの比較を行うことにより評価が可能となった。 以上より評価系についてはほぼ確立し、当初の仮説も確証が得られた。今後はこの仮説に対して治療方法を確立していく必要があり、まずその第一歩として国内初の神経再生チューブ(ナーブブリッジ)を用いてその治療効果を検討している。現在のところ、機能回復には至っていないが、組織学的には神経再生された末梢側の軸索数およびその太さにおいて改善を認めており、今後過誤再生の程度に関しても評価していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度確立した過誤再生の評価方法を用いて来年度は神経再生チューブ単独での過誤支配の改善の検討と神経再生チューブ内へのNGF-TrkA blocker投与における①の感覚神経、自律神経の迷入を阻害することによる治療法の確立を目指す。特にNGFは神経再生においては重要な役割をしていることからその阻害は感覚神経の再生のみならず、運動神経の再生にも影響を及ぼす可能性はあり、NGF-TrkA blockerのなかでも感覚神経に発現が優位なTrkA blockerを 用いて障害部位(チューブ内)での感覚神経の再生を促す。 また②の運動神経の過誤再生に関してはMotor Target-Derived Neurotrophic Factorと考えられる神経栄養因子の導入実験を行いその過誤再生に対する治療効果を検討することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予備実験の段階から本実験へ進む過程であったため 今後、本実験に入るため、適宜購入予定
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