研究課題/領域番号 |
25670728
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60100129)
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研究分担者 |
大野 京子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30262174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 眼医工学 / 近視モデル |
研究概要 |
平成25年度には、マウスを用いた病的近視モデルの作成と眼軸長測定法の確立を行った。幼弱C57マウス(生後2週)の片眼を瞼々縫合もしくは半透明ゴーグルを装着し、視覚を遮断し、1か月飼育を行った。もう片眼は無処置のコントロールとして用いた。眼の前後の長さである眼軸長測定法として、IOL Master (Zeiss社)、AC Master (Zeiss社)を用いた光学的測定法、接触式の超音波プローブを用いる方法、眼球摘出し新鮮凍結したのちに計測する方法、を行い比較検討した。マウスの眼球は小さいためにIOL Masterでは正確に測定できず、また、摘出眼球を用いた方法も誤差が大きく測定には不向きと思われた。前眼部の計測に特化したIOL Masterではトレーニングののちに安定した測定結果を出すことができ、最適の計測方法と考えられた。 つぎに、眼軸延長の主たる原因である強膜の菲薄化を是正するために、ヒトの皮膚線維芽細胞および間葉系幹細胞の培養、移植を行った。培養した細胞を蛍光染色したのちに、マウスおよびラットの眼球壁に沿って、強膜のすぐ後方に細胞懸濁液をハミルトンシリンジを用いて注入した。注入後、1週間、2週間で眼球を摘出し固定し、蛍光顕微鏡を用いて観察した。その結果、1週間後では強膜外壁に沿って移植された細胞が生着している様子がみられた。さらに、移植された細胞はタイプ1コラーゲンを産生していることが免疫染色で確認された。しかし、2週間後には炎症細胞の浸潤とともに、移植細胞の消失がみられ、今後、ヌードマウス、ヌードラットを用いて移植実験を再度行う予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス眼球の眼軸長の定量性のある再現性の高い方法の確立に時間がかかり、その治療効果の判定まで至らなかった。一方、治療のための手法に関しては、新たな方法を検討し、間葉系幹細胞を用いた研究が順調に進んだことより、おおむね順調に進展しているにした。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に確立された系をヒト細胞を用いた系にするため、マウスは、ヌードマウスに、細胞は関してはヒト間葉系幹細胞に変化させる。当初、間葉系幹細胞の採取は、東京医科歯科大学歯学部附属病院を受診した患者より同意を得た後、抜去歯より歯根膜組織より行うことで、すでに東京医科歯科大学倫理審査委員会の承認済みのものを使う予定であったが、さらに、東京大学医科学研究所との共同研究で質の安定した間葉系幹細胞が入手可能となったことより、こちらも合わせて使用する。一方、コラーゲン産生を活発にさせるためには、線維芽細胞を用いる可能性も残されたことより、ヒト線維芽細胞の使用も考慮に入れて実験を行う。これら細胞を用いて、25年度に確立された系、すなわち片眼をゴーグルで遮蔽し、誘導された近視に対するヒト間葉系幹細胞の移植効果を眼球屈折度および眼軸長で調べる。さらに、前年同様、細胞の生死、分化、マトリクス産生などに関しては、キット、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡などを駆使して調べる。 さらに、ヒト血液から単離・培養した血管内皮前駆細胞を間葉系幹細胞シートの上に転写し、上述した眼球変形動物モデルに適用し、その効果を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定機器の開発費が翌年回しになったため 測定機器の開発費に使う
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