研究課題
挑戦的萌芽研究
TACSTD2欠損マウスの作出:今回の検討ではvivoでの検討のためモデルマウスが必要であり、我々はTACSTD2のConventionalノックダウンの作出をおこなった。25年度5月にヘテロマウスの作成に成功したが、ヘテロマウス同士の交配が不調で、ラインが途切れる懸念があったため、新たにキメラマウスからヘテロマウスの作成を行うこととした。この作出とほぼ同時期に1系統においてヘテロマウスの維持に成功したため、この相互交配によるホモマウスの作出を行い、現在、ジェノタイプの結果からはホモマウスのTACSTD2のノックアウトマウスを得ている。TACSTD2欠損マウスの表現型解析:上記のTACSTD2ノックアウトマウスは現在2か月齢であるが、外観はほぼ正常の表現型を示しており、角膜の混濁や血管侵入も認めない。ただし、ヘテロマウスも含め、体毛が局所的に抜ける状態を多く認めるが、まだ、個体数が少ないため、これが特異的な表現型か否かについては検討中である。TACSTD2新規変異の同定:上記の動物モデルでの解析と並行して、新たに、GDLDと診断された患者から、TACSTD2の新規のミスセンス変異とフレームシフト変異を同定した。これらの変異の病原性を証明するために、これら変異TACSTD2と野生型TACSTD2の発現コンストラクトを作成し、それぞれ、クローディン分子CLDN1およびCLDN7と同時にHeLa細胞に強制発現させた。すると、二つの変異TACSTD2を導入した細胞においては、CLDN1、CLDN7ともに蛋白の発現レベルが低下しており(ウエスタンブロットにより確認)、特にミスセンス変異においても病原性があることが確認できた。
3: やや遅れている
ホモマウスの作成に難点があったため、TACSTD2ノックアウトの表現型解析に遅れが出ているため。しかし、現在はホモマウスを得ており、表現型解析も行っている。
マウスからの角膜および口腔粘膜上皮シートの作成:マウスにおいては角膜上皮細胞を培養することに困難が存在していたが、現在、教室の上杉らはこの困難を克服し、培養に成功している。我々はこの方法を用いて、TACSTD2ノックアウト、および野生型のマウスより、角膜口腔粘膜上皮細胞シート、角膜上皮細胞シートを作成し、TACSTD2の発現、クローディンの不安定性などをRT-PCR、免疫染色などで検討するとともに、電気抵抗を測定することによりシートのバリア機能を測定する。細胞増殖能の検討:TACSTD2 null マウスと野生型マウスより角膜輪部の細胞を回収し、コロニーフォーメーションアッセイを行い、角膜幹細胞能についての検討を行うのと同時に、角膜細胞の培養においてダブリングタイムの計測を行い、増殖能の差についての検討を行う。また、同様に、TACSTD2 null マウスと野生型マウスの角膜中央部にトレパンにて上皮欠損部を作り、この創傷治癒に差が無いかどうかを検討する。これらの実験は上皮バリア不全と角膜血管侵入の表現型がそもそも角膜幹細胞の脆弱性からくるものではないことの確認のためにおこなう。アポトーシスの検討:TACSTD2 null マウスと野生型マウスの培養細胞において、ツニカマイシンの暴露によりアポトーシスの誘導を図り、その応答の差を検討する。さらにTACSTD2 null マウスと野生型マウスの角膜におけるアポトーシスの有無についてTUNEL法にて定量的に検討する。これらの実験はTACSTD2 null マウスと膠様滴状角膜ジストロフィ患者において角膜上皮細胞がアポトーシスにより焼失し、それを代償する形で角膜幹細胞に負荷がかかり、幹細胞疲弊症の表現型から上皮バリア不全と角膜血管侵入の表現型が起きているのではないという確認のために行う。
ほぼ全額使用したが、些少額次年度に繰り越した。誤差の範囲内と考えています。これは消耗品に使用する予定である。
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Stem Cells Dev
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