研究課題/領域番号 |
25670731
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻川 元一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (70419472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膠様滴状角膜ジストロフィ / 角膜上皮 / タイトジャンクション / 疾患モデル動物 |
研究実績の概要 |
現在までにTACSTD2コンベンショナルノックアウトマウスを、ヘテロマウスより作成することに成功した。TACSTD2-/-マウスにおいては、老齢期までに重篤な角膜混濁が発生する割合が、TACSTD2+/-, TACSTD2+/+と比して明らかに高く(p<0.05)、これはこのマウスのふぇのタイプであると考えられた。その組織像は炎症細胞の浸潤を認める、過形成のような所見であった。ただし、ヒトで認められるようなコンゴーレッド染色陽性のアミロイドの沈着は認められなかった。これは、マウスにおいては寿命との関連から、沈着が長期間に必要であるアミロイド沈着のような表現型はとりにくいためと推測された。 さらに、電子顕微鏡での観察において、角膜上皮においては主要な接着装置を認めなかった。また、フルオレセインを用いた、透過性の試験においても、定性的な解析ながら、TACSTD2-/-マウスにおいては透過性の亢進を示すような所見を認めた。 さらに、TACSTD2-/-マウスにおいては当然RT-PCR,免疫染色においてもTACSTD2の発現を角膜上皮においては認めなかったが、同時にCLDN7の発現も減弱しており、これらにより、TACSTD2-/-マウスは少なくともヒトの臨床症状の一部を再現しており、ヒトの角膜難治疾患である膠様滴状角膜ジストロフィーのモデルとして使用できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目においてTACSTD2ノックアウトマウス(TACSTD-/-マウス)の作成に困難があったため、進行が遅れていたが、2年目の去年においては、この問題を克服し、詳細な表現型解析を行い、このモデルの正当性を評価できている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究計画にある、マウスにおける上皮シート作成の検討を行っているのと同時に、角膜の創傷治癒、上皮細胞の増幅能についても検討を行っている。また、研究計画にあるミスセンス変異については、TACSTD2の機能が減弱していることを示し、ここの部分が機能に関わりがあるであろうことを示した。(現在論文投稿準備中) ツーハイブリッド法を用いたパートナー遺伝子の探索は、スクリーニングを行ったものの有用な分子が出てこなかったため、現在中断している。 今後は作成したシートを用いての機能実験を行っていくのと、移植による治療法の探求を行っていく。将来、ヒトに応用する場合、自家の上皮シートを使用することが望ましいが、この場合は遺伝子改変を行う必要があると考えられるため、その方法についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ全額使用したが、些少額次年度に繰り越しいたしました。誤差の範囲と考えております。
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次年度使用額の使用計画 |
これらは消耗品に使用する予定であります。
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