研究課題
日本人に多い膠様滴状角膜ジストロフィーの原因遺伝子がTACSTD2であることをわれわれはポジショナルクローニングで示した。今回の研究ではこのTACSTD2のノックアウトマウスを作成し、表現型を解析した。ノックアウトマウスはコンベンショナル法で作成し、ゲノムPCRにて遺伝子の改変を確認した。このマウスは高齢になると極めて高い頻度で角膜の混濁をきたし、これは、野生型と比較してもその割合は優位に高かった。また、マウスは若いうちから、角膜の染色に対する透過性が以上に亢進しており、これもヒト膠様滴状角膜ジストロフィーに対応する表現型と考えられた。また、非常に興味深いことに、角膜の混濁の発生は、光線の強さと関連しており、光線に暴露された個体においては重篤な角膜混濁を引き起こす割合が高かった。また、光が強い状態(1000lx程度)においてはTACSTD2 Nullでは若い個体に於いても角膜混濁が発生した。角膜混濁の組織的検討を行ったが、白血球の浸潤を認めるも、ヒトに認められるようなアミロイドの蓄積は証明できなかった。角膜の創傷治癒にかかわる研究においては、角膜上皮をアルコールで作成し、その面積の変化を検討したが、正常野生型とNull Mouseで大きな違いはなかった。続いて、このマウスにおいて角膜上皮シート移植を行うための準備として、角膜上皮細胞の培養を開始した。マウスにおいては角膜上皮細胞の培養はきわめて困難であるが、我々の研究室では長年の経験を有しており、野生型 および、TACSTD2 Nullの両マウスとも角膜上皮細胞の培養自体は成功した。現在、重層化、シート化できるかどうかを検討している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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