平成26年度は成体網膜症モデルマウスを新たに開発し、抗Ang2阻害抗体による治療効果を検証した。本モデルマウスでは、新生仔期におけるペリサイト消失を契機に、成体に至っても血管透過性亢進および網膜浮腫が持続する。アクリジンオレンジによる白血球標識と、超広角眼底撮影を組み合わせた網膜イメージングにより、成体網膜症モデルマウスでは網膜内白血球浸潤の亢進を伴う炎症が遷延化することが明らかとなった。Ang2は血管内皮細胞におけるICAM-1やVCAM-1などの白血球接着分子の発現を上昇させることが報告されているが、成体網膜症モデルマウスの眼内に抗Ang2阻害抗体を投与すると、白血球浸潤が有意に抑制されることが明らかとなった。現在は、網膜血管透過性亢進や浮腫に対する抗Ang2阻害抗体の治療効果を検討しており、本成果を足がかりに、糖尿病黄斑浮腫に対するAng2阻害療法の実現化をめざす。
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