研究実績の概要 |
1.黒色の因子X受容体欠損マウスの作成:海外の共同研究施設から入手した因子Xの受容体欠損マウスが白色で遺伝的背景がBalb/cであったため,再現性のあるレーザー誘発脈絡膜新生血管マウスモデルを確立するため,鳥取大学生命機能研究支援センター動物資源開発分野の支援のもと,C57BL/6を遺伝的背景に持つ黒色の因子Xの受容体欠損マウスを体外受精によって作成することに成功し,戻し交配でN3まで継代し増産した。戻し交配の過程で生産された野生型をコントロールとして,因子X受容体欠損遺伝子型がホモとヘテロのマウスについて,遺伝子型と疾患感受性について解析することが可能になった。 2.因子XとY受容体の発現解析:因子XまたはY受容体欠損遺伝子型がホモまたはヘテロのマウスと野生型の3群について因子XとY受容体の発現を確認した。血管内皮細胞に選択的に結合するレクチンまたは抗CD31抗体,免疫細胞特異的抗体との二重染色により,脈絡膜伸展標本と組織切片での因子XとY受容体の脈絡膜新生血管構造内での発現分布を比較し,正常網膜血管や正常脈絡膜血管とレーザー誘発脈絡膜新生血管での発現の比較,網膜,網膜色素上皮,リンパ球での発現を解析した。 3.因子Xの作用解析 in vivo:因子XまたはY受容体欠損遺伝子型がホモまたはヘテロのマウスと野生型の3群について,レーザー誘発脈絡膜新生血管のサイズを比較し,遺伝子型と疾患感受性について検討した。 4.加齢黄斑変性患者と健常者より得られた検体のSNP解析:同意が得られた加齢黄斑変性患者と健常者より提供された血液検体から得られたゲノム情報をもとに,既知の加齢黄斑変性関連遺伝子とともに因子XのSNP解析を進めている。また,同時に採取した前房水の因子Xとその関連分子の発現を解析し,ゲノム情報との関連を引き続き確認中である。
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