研究課題/領域番号 |
25670733
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
馬場 高志 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (40304216)
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研究分担者 |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30346358)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 疾患モデルマウス / 血管新生 |
研究実績の概要 |
1.マウス骨髄細胞を用いた因子Xの機能解析:因子Xの脈絡膜新生血管(CNV)への作用を解析するため,全身放射線照射により骨髄細胞を抑制した野生型および因子X受容体欠損マウスをレシピエントに,野生型GFPマウスをドナーとして骨髄を移植した。移植2週間後にレーザー処置を行うことでCNVを誘発し,AMDモデルマウスを作成した。レーザー処置2週間後に共焦点メージングでCNVサイズを定量解析するが,その際,AMDモデルマウスの骨髄細胞を採取し,フローサイトメトリーで移植骨髄の生着効率を確認した。移植2週間後のGFPマウス骨髄由来細胞が,レーザー処置2週間後に発生したCNVの構造中に集簇しているのを確認できた。また,因子X抗体と因子X受容体抗体,因子Xと結合するが因子X受容体下流のシグナルとは別の役割を果たすと考えられる因子Y受容体抗体を用いて確認したところ,移植した骨髄由来細胞の因子X受容体の発現を確認した。また,全身放射線照射した野生型マウスをレシピエントに,野生型および因子X受容体欠損マウスをドナーとして,低毒性生細胞蛍光標識した骨髄由来細胞を移植し,AMDモデルマウスを作成し,共焦点イメージングでCNVのサイズを定量解析した。因子X受容体欠損マウスに野生型マウス骨髄を移植したところ,因子X受容体欠損マウス骨髄を移植した場合よりも,CNVサイズは有意に拡大し,野生型マウスに因子X受容体欠損マウス骨髄を移植すると,野生型マウス骨髄を移植した場合よりも,CNVサイズは有意に縮小した。以上から,因子X受容体陽性の骨髄由来細胞がCNV発生に関与する可能性が示唆された。 2.加齢黄斑変性患者と健常者より得られた検体のSNP解析:同意が得られた加齢黄斑変性患者と健常者より提供された血液検体から得られたゲノム情報をもとに,既知の加齢黄斑変性関連遺伝子とともに因子XのSNP解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.因子Xの作用解析 in vivo:遺伝子欠損マウスの増産が困難なため,実験に必要なマウスの個体数確保のためには体外受精を用いる必要があり,現在,骨髄移植細胞を用いた系の再現性を確認するためのマウスを準備中である。また, CNV感受性に加齢変化が影響するため,実験に使用するマウス週数についても配慮を要する。 2.因子Xの作用解析 in vitro:概ね順調であるが,成果を開示できるようにするためには,引き続き,因子X受容体のCNV発生に関与する具体的な作用機序の解明を要する。 3.加齢黄斑変性患者と健常者より得られた検体のSNP解析:現在,加齢黄斑変性患者と健常者から得られた検体は合計90例を越え,順調であるが,既知の遺伝子のSNP解析の報告との整合性を確認した上で,ゲノムデータを大量に保有する他施設と共同で更に解析を進めるため,ヒトゲノムデータ利用のための臨床研究の手続きを行った上で,因子Xの疾患感受性への関与を確認する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.因子X受容体下流シグナルのCNV形成への関与の解明:因子X受容体刺激で骨髄由来血管内皮細胞で誘導された分子の網羅的解析の結果から,VEGFを介する系から独立した血管形成メカニズムについて探索を行う。因子X受容体刺激後のCNV発生メカニズムについて,MAPKを介したシグナル伝達によって制御されている可能性を検討しており,RhoAの活性化とROCKなど更に下流のシグナルの活性化により,細胞の伸展,細胞増殖の調節や細胞質分裂などと連動した細胞骨格構成分子の再構築を促すことで,直接的にCNVを誘導している可能性について,新たにマウス網膜血管由来細胞を用いて検証する。また,新たに確認された系について,AMDモデルマウスを用いた実験系でCNV発生感受性について検証する。 2.AMD患者と健常者より得られた検体のSNP解析:AMD患者と健常者より得られた血液由来のゲノム情報をもとに,因子Xとその受容体に関与するSNP解析を行う。既知のAMD関連遺伝子と因子Xとその受容体が関与する疾患の病歴情報をコントロールとして当施設のゲノム検体情報の妥当性を確認した上で,因子Xとその受容体の関連するSNP解析の結果と,AMDの病型やAMDの進行度,抗VEGF薬投与や光線力学的療法などの各種治療への感受性との相関を解析する。また,同意を得て同時に採取することができた前房水のプロテオミクス解析の結果とSNP解析の結果との関連を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
因子X受容体下流のシグナル伝達のうち,VEGFの系を介さずにCNV発生を制御している可能性が示唆されたが,因子X受容体によるCNV発生メカニズムを明らかにして,その成果を開示するため,主にin vitroの系を用いた解析において,下記の計画の費用にあてる。また,因子X受容体とAMD疾患感受性との関連を明確にするため,AMD患者と健常者より得られた血液由来のゲノム情報をもとにした因子Xとその受容体に関与するSNP解析を引き続き進めるための費用にあてる。
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次年度使用額の使用計画 |
1.因子X受容体によるCNV発生メカニズムの検証 in vitro:マウス網膜血管内皮細胞を入手し,内皮細胞血管形成アッセイを用いて,因子X受容体下流の分子と血管形成との関連について検証する。因子X受容体刺激により,管腔形成が促進されることを確認した上で,刺激後に得られた上清を用いてマイクロアレイで発現分子のプロファイルを確認する。その上で,候補となる複数の分子について,in vitroの系を用いて作用を確認する。因子X受容体下流の標的蛋白のsiRNAもしくは選択的キナーゼ阻害薬を用いて血管形成への関与を確認すると共に,同定された候補蛋白の阻害薬を骨髄移植したAMDモデルマウスを用いて,CNV内に集簇した移植細胞の誘導・分化された状態について検討する。 2.既知のAMD関連遺伝子と因子Xが関与する疾患の病歴情報をコントロールとして当施設の検体ゲノム情報の妥当性を確認した上で,因子Xとその受容体関連するSNP解析の結果を解析する。
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