研究課題/領域番号 |
25670739
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
古泉 英貴 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (20551500)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脈絡膜構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究は新規高速高侵達スウェプトソースOCTを用いて黄斑部脈絡膜構造の三次元情報を網羅的に取得し、生体内での脈絡膜鋳型モデルの作製を行うこと、さらに蛍光眼底造影所見などとの経時的比較検討により、最終的に脈絡膜の器質的変化および循環動態を非侵襲的に評価可能な診断アルゴリズムの開発を目標としている。平成26年度はOCTにより取得した脈絡膜断層像の構造解析を試みた。具体的には正常眼の脈絡膜内部構造の特徴、および黄斑疾患に対する治療後の脈絡膜内部構造の変化に関して検討した。正常眼では加齢および近視化に伴い脈絡膜厚が減少することが知られているが、脈絡膜内部構造の変化として加齢および近視化の双方で脈絡膜全体面積に対する管腔面積の割合が減少した一方、加齢でみられた脈絡膜浅層の菲薄化が近視化ではみられなかったことを明らかにし、同じ脈絡膜菲薄化という現象でも加齢と近視化ではそのメカニズムが異なることが示唆された。また、黄斑疾患に対する治療においては、脈絡膜厚の減少を惹起する滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対するアフリベルセプト硝子体内注射(IAI)後の脈絡膜内部構造の変化を検討した。その結果、滲出型AMDに対するIAIは脈絡膜浅層よりも脈絡膜深層の有意な構造変化をもたらすこと、またIAI前後で脈絡膜管腔領域面積が有意に減少したのに対し、脈絡膜間質面積には有意な変化がみられなかったことを明らかにした。現在内部構造の変化とその臨床的意義の関連につき、各方面から検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脈絡膜断層像の内部構造の解析につき、正常眼および各種黄斑疾患における特徴的所見、そして各種治療前後における変化につき検討を行っており、概ね予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
脈絡膜内部構造の解析をさらに推進させる一方、他の眼底イメージング手法の結果との関連性につき検討する。とりわけ、脈絡膜毛細管板の断層像所見とOCTアンジオグラフィ所見を対比し、非侵襲的な脈絡膜循環動態評価手法をさらに発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題に関してOCTを用いた脈絡膜構造の三次元的解析を進行中であったが、脈絡膜血管構造を高精度に画像化可能なOCTアンギオグラフィの使用が急遽可能となった。 新規方法論を併用することで研究成果の飛躍的な進歩が期待され、それに伴う研究経費および成果発表の経費の大幅な増大が予想され、来年度に予算を使用する必要性が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
脈絡膜断層像および血管形態評価のためのコンピューター、ソフトウェア、保存媒体の購入費用、研究成果発表のための論文製作経費、国内・国外における学会発表経費、研究補助員に支払う謝金などに使用予定である。
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