研究概要 |
網膜細胞の分化機構の詳細は不分明である。我々はマウスのES細胞とiPS細胞に眼発生に関わる重要な転写因子の一つである pax6を遺伝子導入した後、限界希釈法を用いることで nestin, musashi1, six3, 網膜前駆細胞の分化に関わる転写因子 chx10を同時に発現する網膜神経前駆細胞株を複数樹立する事に成功した(Kayama M, Suzuki N, et al. Ophthalmic Res 2010, Suzuki N et al. Neuroscience Letters 2013)第一グループの細胞株は視細胞前駆細胞としての性質を持ち杆体視細胞と錐体視細胞へと分化できる。第二グループの細胞株は優先的に網膜神経節細胞に自発的に分化する。その分化機構を転写因子レベルとエピジェネティック調節のレベルで解析する。これらの細胞株を用いて、網膜神経節細胞、視細胞前駆細胞、杆体視細胞と錐体視細胞を高純度で精製できる状態になった。Ion PGMシステム次世代シークエンサーを用いて各細胞の全転写パターンを分析し、細胞間の差異を明らかにする。現在は予備実験としてシクエンスの解析を行っているが、近々に網膜前駆細胞を用いたマッピングとデーター解析を行う。それらの情報に基づ き眼組織での役割を免疫組織染色で解析する。これらの Bioinformaticな解析により、神経節細胞や視細胞の分子レベルでの関連を、さらに眼発生の分子機構の理解が可能になる。
|