研究課題
我々はマウスiPS 細胞にpax6 を導入し視細胞前駆細胞株を作成した。我々はiPS細胞から樹立した網膜前駆細胞を数十株樹立したが、そのうちのmRNAと細胞表面抗原で調べた限り全く差異の無い10株について詳細に解析した。樹立した網膜前駆細胞を分化誘導培地で培養前後の視細胞前駆細胞マーカーであるCD73とSDF1受容体であるCXCR4との二重染色を行った。我々の細胞株では発現強度に差は認められるものの、CD73陽性細胞はCXCR4を強く発現する事が分かる。網膜前駆細胞株10クローンのうち8クローンではSDF1との培養でロドプシン、CRX、RX1、NRLのmRNA発現が濃度依存性に増強する。この作用がCXCR4を介したSDF1によるものである事は特異的な阻害剤AMD3100の添加実験によりCD73蛋白とロドプシン蛋白の発現抑制から示された。興味深い事に、SDF1はCRXのmRNA発現を増強するのみならず、転写因子であるCRXの核内移行を誘導した。luciferase assayを用いた検討からSDF1はロドプシンプロモーターの遺伝子転写を増強するが、そこではCRXの活性化、核内移行を介している事が明らかになった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
International Journal of Ophthalmology and Clinical Research
巻: 2 ページ: 1-5
Inflammation and Regeneration
巻: 35 ページ: 154-163