研究課題
H25年度に行った実験モデルでは端側、側側神経縫合による軸索再生の有意差は認めなかった。そこでH26年度には、神経縫合部の条件(断端か側面か、接触面積の大小)をより詳細に反映させた比較対象となるモデル群を作成し、昨年度のモデルによる実験結果と比較した。最終的なモデル群は、顔面神経頬枝をクリップした不全麻痺モデル(非再建モデル A group)、端側神経縫合モデル(1.5mm neural windowモデル B group)、側側縫合モデル(5mm neural windowモデル C group)、側側神経縫合モデル(1.5mm neural windowモデル D group)の4群を作成し、週一回の表情筋スケールでの評価を行い12週間経過観察を行った。経過観察終了後、逆行性トレーサーを用いて顔面神経核の神経細胞の個数を計測する。<結果>表情貴院スケールの改善度はA<D<B=C、顔面神経核における神経細胞数はA<D<B=Cとなり、いずれも再建群が有意に非再建群より成績が良かった。また、神経細胞数について、同一neural window径においては端側>側側、側側群においてはneural window径大>neural window径小となり、縫合部の条件により軸索再生に有意に差があり、表情筋スケールにおいても概ね同様の傾向を認めた。<考察>今回の実験結果より、同様の手術部位(同一神経組織)を用いた神経縫合において、神経縫合部の条件により軸索再生数および臨床所見の改善に差があることが分かった。これは実際の臨床においても、縫合部の条件を考慮することにより、より良い神経再建の結果を得ることができる可能性を示したこととなる。また、側面どうしの縫合でも軸索再生が起きうることも確認され、より多様な縫合条件にも対応しうる可能性を示すことができた。
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