研究課題
血管奇形は、血管の異形性などに伴い局所に血流の過剰流入・貯留があり、一部に創傷治癒遅延や、うっ滞する血流のため、疼痛と可動域制限など生活の質の制限を認める。また、疼痛など知覚神経異常が長期間残存することがあり、より副効果の少ない治療方法の開発が“神経”系の血管奇形への関与メカニズム解明と共に重要である。血管奇形治療における局所循環動態の調節と臨床分類での塞栓療法が高流量(high flow)動静脈奇形の第一選択であり、局所血流制御に高い治療効果を示している。末梢組織の血管、血流調節および血流動態(ヘモダイナミクス)、更に発展させて血管・循環系と末梢神経の相関について体系的に検討した研究は少ないため1.虚血モデルへの組織への血流付加について、脂肪幹細胞群との比較検討し、神経”系の関与について細胞膜受容体チロシンキナーゼ・ドメインのアダプター(接合)分子(Shc系タンパク)ノックアウトマウスモデルを用いて2.神経と血管新生及び創傷との関係について検討したところ、下肢20Gy放射線照射後総腸骨動脈結紮ラットモデルでは1.非接触性レーザーによる組織血流は2週で、浅腹壁皮弁付加により有意に増加し、von Willebrand因子免疫染色による総血管密度を有意に上昇させた。2.ShcC欠損マウスモデルでは1×1cm2の肉様膜を含めた全層欠損への人工真皮による被覆で6日までに対照群は総閉鎖したが、ShcC欠損群では全く閉鎖しなかった。H & E染色による組織検討では、血管形成が有意に低下していた。虚血ラット血管系操作と神経結合タンパク遺伝子操作マウスモデルにより血管奇形近似モデルとして更に検討が必要であると考えられた。
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