研究実績の概要 |
重症患者の血管透過性亢進と生命予後に影響を与える新規の遺伝子多型を発見する目的で,重症敗血症コホート(n=520)の遺伝子多型解析を行った.遺伝子は血管透過性亢進と関連のある可能性が示唆されるangiopoietin-1 [ANGPT1], ROBO1, ROBO4, CTNNB1, SLIT2N, F2R, FLT1, TEK, S1PR1, S1PR3, KDR, NPPA, VEGFA, RAC1, CDH5, PROCRを選択し,それらの遺伝子のSNPsをgenotypingした.敗血症性ショック後のはじめの48時間の水分貯留率((percent fluid overload =(intake - output/body weight) X 100)と28日死亡率をアウトカムとして用い,関連解析を行った.過剰な水分貯留と高い28日死亡率の両方にANGPT1遺伝子多型(rs4324901 AA genotype)が関連した.この遺伝子多型をもつ敗血症性ショックの患者には,例えばrecombinant human angiopoietin-1の投与などの,血管透過性亢進を制御する治療法が効果を発揮する可能性がある可能性が推察された.
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