研究課題
ヒト皮膚線維芽細胞として、Lonza社の細胞培養株を用い、16時間トリプシン-EDTA中で維持したのち、10%FBS添加αMEM培地を加えた細胞懸濁液の形で回収し、300g・5分間の遠心で培地およびトリプシンを除去したのち、PBSを加えて再び遠心し、回収した細胞を10%FBS添加αMEM培地を加えて25cm2フラスコで培養した。接着した細胞を増殖させ、トリプシン処理で回収し、抗SSEA-3抗体で標識し、SSEA-3陽性細胞をFACS AriaIIを用いてソーティングし、得られた細胞を10%FBS添加αMEM培地で培養し、これをMUSE細胞として取り扱った。Methocult H4100含有培地を用いた浮遊培養で桑実胚様のコロニー形成をすることが確認された。こうして採取されたMUSE細胞を培養し、別に採取されたラットの肺胞上皮細胞との共培養実験を行った。MUSE細胞と共培養されたラットの肺胞上皮は、サーファクタントプロテインDの発現を維持しており、接触型共培養では、cyst様のくぼんだ構造を形成することが示された。さらに、MUSE細胞をマウスのエンドトキシン肺傷害モデルに対して経気道投与を行い、肺組織における障害の重症度を改善するかどうかを検討した。IVIS撮影装置により、in vivoにおける肺内での好中球エラスターゼ活性を測定したが、有意な差を検出するには至らなかった。MUSE細胞としての形質の維持が十分にできていなかった可能性があり、細胞治療としての有用性を明らかにするためには、技術的な面も含めてさらなる工夫が必要であると思われた。
すべて 2015
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Intensive Care Med Exp.
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