• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

心筋傷害分子としての細胞外ヒストンの基礎研究と臨床展開

研究課題

研究課題/領域番号 25670763
研究機関鹿児島大学

研究代表者

伊藤 隆史  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任講師 (20381171)

研究分担者 丸山 征郎  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (20082282)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2014-03-31
キーワード敗血症 / ヒストン / 免疫学 / 病理学
研究概要

敗血症では、しばしば心筋障害を併発する。敗血症患者の血中には何らかの心筋抑制因子が含まれていると考えられているが、その全貌はわかっていない。本研究課題では、「敗血症における致死性メディエーターとして近年注目を集めている細胞外ヒストンが、敗血症患者の血中に含まれている心筋抑制因子であり、細胞外ヒストンの心筋傷害性によって心臓の収縮能が低下する」、という仮説について、臨床検体、動物実験、培養細胞を用いて検証した。まず、臨床検体中の血漿ヒストン濃度を測定したところ、健常人ではほぼゼロだったのに対し、敗血症患者では有意に高値を示していた。特に、死亡例において、高い傾向を示した。また、敗血症以外でも、外傷や腫瘍崩壊症候群などによって非感染性に細胞が傷害される病態においても、血漿ヒストン濃度の上昇を認めた。マウスにヒストンを投与すると、心電図にてST低下、R波の減高の所見を認め、心エコーでは右室の拡張、左室収縮能の低下を認めた。血液生化学検査では、CK、AST、LDHの上昇を認め、心筋などの細胞が傷害されていると考えられた。また、培養細胞を用いた実験でも、ヒストンによって細胞が傷害され、アポトーシスおよびネクローシスに陥る様子が観察された。播種性血管内凝固症候群(DIC)治療薬として現在広く使われている遺伝子組換え型トロンボモジュリン製剤はヒストンと結合してヒストンの毒性を中和し、ヒストンを投与したマウスの心筋傷害を軽減し、生存率を改善した。以上のことから、敗血症の際に血中濃度が上昇する細胞外ヒストンは、心筋傷害因子として働く可能性が示唆され、また、遺伝子組換え型トロンボモジュリン製剤によってそれを軽減しうる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] トロンボモジュリンの基礎2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤隆史
    • 雑誌名

      日本血栓止血学会誌

      巻: 25(1) ページ: 55-60

  • [雑誌論文] Toxic effects of extracellular histones and their neutralization by vitreous in retinal detachment.2014

    • 著者名/発表者名
      Kawano H, Ito T, Yamada S, Hashiguchi T, Maruyama I, Hisatomi T, Nakamura M, Sakamoto T.
    • 雑誌名

      Lab Invest.

      巻: 94 ページ: 569-585

    • DOI

      10.1038/labinvest.2014.46.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recombinant Thrombomodulin Protects Mice against Histone-Induced Lethal Thromboembolism.2013

    • 著者名/発表者名
      Nakahara M, Ito T, Kawahara K, Yamamoto M, Nagasato T, Shrestha B, Yamada S, Miyauchi T, Higuchi K, Takenaka T, Yasuda T, Matsunaga A, Kakihana Y, Hashiguchi T, Kanmura Y, Maruyama I.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e75961

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0075961.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi