研究課題/領域番号 |
25670767
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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研究分担者 |
土肥 謙二 昭和大学, 医学部, 講師 (20301509)
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 助教 (20349062)
中町 智哉 昭和大学, 遺伝子組換え実験室, 助教 (30433840)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PACAP / TSG-6 / 神経細胞死防御 / 神経再生 / 点鼻投与 |
研究概要 |
当該研究はPACAP (Pituitary Adenylate Cyclase-Activating Polypeptide)とTSG-6 (TNF-alpha-stimulated gene/protein 6)の2種類の神経ペプチド・タンパクを用いてマウスの脳梗塞・脳外傷などの神経損傷モデルに対して神経細胞死防御、神経再生の促進を目的に計画している。当該研究者らはPACAPの虚血性神経細胞死に関しては実績があるが頭部外傷に関しては十分な検討を行っていなかった。本年度はPACAPおよびTSG-6の頭部外傷に対する有用性を検討するとともに点鼻投与のドラッグデリバリーシステムの確立を行った。さらに,当該年度終盤にPACAPに関し点鼻投与の予備検討を開始した。C57/BL6系のマウスを用い頭部外傷モデルを作成した。頭部外傷モデルは,3次元脳固定器に電気制御型の頭部外傷インパクターにより,頭頂部外傷を作成した。それらの動物に対しPACAPもしくはTSG-6を静脈内投与しそれらタンパク質の細胞死抑制効果を検討した。PACAPは頭部外傷後の外傷領域を抑制し頭部外傷後に増加するフリーラジカルを有意に抑制した。これらの作用はPACAPによるミトコンドリア局在性の抗酸化性タンパク質(Mn-SODおよびグルタチオンペルオキシダーゼ)のデノボ合成の促進によることが明らかとなった。PACAPはこれまで,抗アポトーシス作用が細胞死抑制効果のしゅ作用として報告されていたが今回新たに,抗酸化システムの修飾を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該計画はPACAPとTSG-6の神経損傷モデルに対する有用性の検討と点鼻投与による新しいドラッグデリバリーシステムによる治療法の確立を目的としている。これまで,脳虚血性神経細胞死に関しては当該研究者グループにより詳細に検討されてきたが頭部外傷に関しては十分とはいえなかった。まず,本年度PACAPおよびTSG-6に対しての頭部外傷の有用性が示されたのは次年度に計画している点鼻投与による新しいドラッグデリバリーシステムの研究の基礎となったと言える。まだ詳細な結果は出ていないが当該研究グループでは点鼻投与による脳梗塞および頭部外傷の有用性をPACAPにより既に検討を開始している。点鼻投与による脳へのペプチドの移行などはすでに報告済みであり期待ができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はまず,PACAPの点鼻投与による脳梗塞および頭部外傷の有用性を評価することをはじめに行う。引き続きその作用機序の解明をマイクロアレイ法などを用いトランスオミクス解析につなげる研究を行う。加えて,PACAPのシグナル解析をGPCR解析に有用なセルキーシステムを用いて証明する。さらに,脳内のPACAPの作用を神経-グリア相関の観点からマイクログリアの培養細胞や脳内のグリアの活性化を調べることにより作用の本体に迫ることを目指す。その後,それらの解析ノウハウをもとに点鼻投与によるTSG-6の頭部外傷および脳梗塞に対する有用性を調べていく予定である。
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