研究課題/領域番号 |
25670773
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中島 友紀 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00346959)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨生物学 / 骨恒常性 / 骨細胞 |
研究概要 |
骨の恒常性は、破骨細胞が骨破壊により古い骨を除去し、骨芽細胞が骨新生することで保たれている。骨細胞は、骨新生時に骨芽細胞が骨基質に埋め込まれた最終分化細胞と考えられており、骨構成細胞の約90%を占め、骨小腔に単独で存在し細胞突起により細胞間ネットワークを構成している。この骨細胞ネットワークは骨基質内の骨細胞間だけでは無く、骨表面の破骨細胞や骨芽細胞とも密接に連結していることから、骨細胞が細胞間コミュニケーションにより、骨の恒常性を制御する指令細胞である可能性が推測されている。しかし、骨という特殊な硬組織に埋没した骨細胞は、単離することが難しく、これまでその細胞特性や機能について、組織学・病理学的な所見から推測される域を脱していなかった。 本研究では、ゲノムワイドな遺伝子発現プロファイリングにより骨芽細胞から骨細胞への最終分化の制御因子の同定と機能解析を実施し、骨恒常性における骨細胞の重要性を確立する。 以前、世界に先駆け、申請者は骨細胞だけが蛍光を発するマウスを樹立し、骨から酵素処理とFACSソーテイングによる高純度な骨芽細胞と骨細胞の単離培養に成功している(Nat Med 2011)。本研究では、この方法を用いて採取した骨芽細胞と骨細胞を用いてゲノムワイドなトランスクリプトーム解析によって、発現遺伝子の情報を集積し、バイオインフォマティクスなデータベースが、現在、構築されつつある。さらにこの新規単離方法を活用し、骨芽細胞(EGFP陰性) から骨細胞(EGFP陽性) への最終分化過程を、ビジュアル化および定量的に解析するシステムが構築することに成功した。従って、プロジェクトの達成目標に向け、確実な成果が本年度は得られたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクトの達成目標に、必要とされる骨細胞の遺伝子情報が集積されつつあり、細胞分化系の新規ディバイスの構築など整いつつあるため、十分、順調と言って良いと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
バイオインフォマティクスなデータベースの構築を完成させ、得られる候補分子の機能を明らかにするために、shRNA法を用いた遺伝子ノックダウンや強制発現実験から骨細胞の分化や機能の制御機構を解析する。また、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞等、3次元培養系を構築し、in vitroにおける細胞間コミュニケーションを機能解析する。そして、候補遺伝子の遺伝子改変マウスの構築に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も研究計画を加速させるため、研究基盤となる機器整備、消耗品の購入が急務となっている。 研究計画遂行のためのインフラ整備を中心に研究費を使用していく。研究実施に不可欠な実験機器等を整える必要がある。
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