研究課題/領域番号 |
25670774
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
船戸 紀子 東京医科歯科大学, 医歯学研究支援センター, 准教授 (10376767)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Tbx1 / 口腔上皮 |
研究実績の概要 |
マウス切歯形成端部では上皮幹細胞が維持されており、エナメル質形成に関与するエナメル芽細胞を供給する。T-box型転写因子をコードするTBX1は、22q11.2欠失症候群の疾患遺伝子の一つであり、マウス切歯形成端部上皮幹細胞や口蓋発生時の口蓋粘膜上皮に発現を認める。本研究では、Tbx1が口腔上皮幹細胞の機能維持に関わるという仮説のもと、切歯や口蓋粘膜の発生および再生におけるTbx1の関与を個体レベルで解明することを目的としている。 生後1日のTbx1ノックアウトマウスを組織学的に観察したところ、エナメル質の低形成が認められた。続いて、上皮幹細胞特異的にTbx1を欠失させたTbx1のLoss-of-function型遺伝子改変マウスを用いて、生後4週、3ヶ月、7ヶ月、10ヶ月、15ヶ月マウスの上下顎の切歯、臼歯の数・大きさ・形態を観察したところ、3ヶ月までは差が見られなかったもののTbx1の、10ヶ月Loss-of-function型遺伝子改変マウスにおいて、上顎切歯の短小傾向が認められた。今後、24ヶ月マウスまで観察をおこない、加齢依存的な差が認められるようになるかどうか検討する。 一方、組織特異的にTbx1を強制発現させて表現型を観察するため、新規にTbx1のGain-of-function型遺伝子改変マウスの作製を行った。同マウスを用いて上皮幹細胞特異的にTbx1を強制発現させ、歯および口腔粘膜の表現型について観察した。しかし、生後数ヶ月レベルでのマウスの歯において野生型と比較して顕著な差は認められなかった。今後、24ヶ月マウスまで観察をおこない、加齢依存的な差が認められるようになるかどうか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、Tbx1を上皮特異的に欠失させた遺伝子改変マウス(Loss-of-function型)の解析および上皮特異的に強制発現させた遺伝子改変マウス(Gain-of-function型)の歯を解析した。しかし、若いマウスの歯において野生型と比較して遺伝子改変マウスに顕著な差が認められなかった。そのため、両系統のマウス共に当初の予定より飼育期間をのばし、加齢依存的な差が認められるようになるかどうか検討する。
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今後の研究の推進方策 |
Tbx1を上皮特異的に欠失させた遺伝子改変マウス(Loss-of-function型)の解析および上皮特異的に強制発現させた遺伝子改変マウス(Gain-of-function型)を用いて、野生型と比較して加齢依存的な差が認められるかどうか検討する。顕著な差異が認められた場合、遺伝子発現解析の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画A.Tbx1のLoss-of-function型遺伝子改変マウス、およびB.Tbx1のGain-of-function型遺伝子改変マウスの解析において、当初の計画では生後4週、3ヶ月マウスの歯の表現型の観察後、実験を進める予定であった。しかし、両遺伝子改変マウスともに表現型の差が予想以上に小さかった。現在のところ、1歳3ヶ月まで観察した。マウスの寿命に近い2歳を実験に利用したい。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス飼育費用、マイクロアレイ、抗体類、組織用消耗品
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