研究課題/領域番号 |
25670776
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
丸山 史人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30423122)
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研究分担者 |
黒川 顕 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (20343246)
中川 一路 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70294113)
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396887)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CRISPR / 外来因子 |
研究概要 |
細菌ゲノム上に存在する外来遺伝因子に対する獲得免疫システムが、群集レベルで捉えることにより「記憶」を司ることを示すとともに、この記憶領域の多様性から細菌叢の「老化」の定義・数値化を目指し、A群レンサ球菌、ブタレンサ球菌の獲得免疫システムであるCRISPRの解析を網羅的に実施した。i) (メタ)ゲノムデータベースの網羅的なファージ、CRISPR、メタデータの重相関解析により、実験標的となりうるパラメータを選定する。ii) 実験動物を用いた細菌叢の宿主の寿命に対する影響と連続同一ストレスに対する細菌叢とCRISPRの動態解析によって、「記憶」としての機能を証明する。iii) 細菌叢およびCRISPRの多様性指数(種類の豊富さと均一性を考慮したもの)を組み合わせて、数理モデル化することで、細菌叢の「老化」を定義、制御方法を考案する。期間内に可能であれば iv) 細菌叢由来の細菌を組み合わせることにより、老化した細菌叢の若返りが可能か、つまり細菌感染に対する抵抗性の回復が可能か(再構築)を検討する、という実施予定としていた。しかしながら、予想に反し、ヒト環境に多数生息するレンサ球菌属の参考種であるA群レンサ球菌株や人獣共通感染症の原因菌であるブタレンサ球菌株が多数入手できたため、こちらのCRISPRの解析を実施した。その結果、この記憶領域により、病原性を規定するとかんがえられる外来因子を規定できることが情報的に示すことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的とは多少のズレてしまったものの、当初の目的と同等の成果が得られていること、また、その成果は、当初の目的に還元可能であり、有用な知見を与えるものであることから、問題はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1. GenBankのftpサイトより、全(ドラフト)ゲノム解析が行なわれている細菌、古細菌、プラスミド、ファージの配列データ、さらにShort Read Archiveを中心とした、ヒトに関わるメタゲノムデータ(ファージのメタゲノムを含む)の配列データと種々のメタデータ(生育条件、単離元、臨床データなど)を取得する。 2. 上記1.で取得したメタデータごとに情報を分類し(分類基準を設定する)、データベースを構築する。従来の分類では、ファージやCRISPRを考慮していないので、データにバイアスのあるファージメタゲノムなどでは、実験手法についても分類する。また、配列取得方法により、非遺伝子領域のCRISPR予測に影響があると考えられるため、これも分類する。 3. 配列データについて、(ファージ)メタゲノムについては、MetaVelvetなどのメタゲノム専用のアセンブラーにより、コンティグを作成する。そして、ファージ以外のゲノムやコンティグ配列については、ファージ領域を予測する。さらに、これらからCRISPR領域の予測を行う。CRISPRについては、取り込まれている外来因子の種類や量を明らかにする。 4. 予備的知見から、既に複数の細菌種のプロファージ領域にCRISPRが存在することを発見している。そこで、このCRISPRが機能するのか、すなわち、本研究で考慮する必要があるのかを明らかにする(既に菌株は購入し、実験を進めている)。
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