研究課題/領域番号 |
25670780
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
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研究分担者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 炎症性骨破壊 / 免疫制御 / アジュバント関節炎 / Th1細胞 / Tim-3 / ガレクチン9 / 破骨細胞 |
研究概要 |
化学療法により死滅した癌細胞のすみやかな排除や細菌感染に対する生体防御において膜表面分子Tim-3が重要な制御的役割を担うことが分かってきた。本研究では炎症性骨破壊の場におけるTim-3の役割を分子組織学的に解析し、Tim-3/リガンドを標的とした骨破壊制御を行うことを目的とする。アジュバント関接炎ラットの炎症性骨破壊部位に於いてTim-3陽性細胞が骨髄腔の広範囲に渡って観察され、骨破壊部位に多数のTh1細胞等が集積していることが分かった。正常ラットの同部位におけるTim-3の発現を検討したところ、破骨細胞にほぼ一致してTim-3の発現が認められた。Tim-3の破骨細胞における発現を試験管内破骨細胞形成系において免疫染色法、定量的rtPCR法、Western Blotting法で確認した。Tim-3の機能を推定する為にリガンドであるガレクチン9を試験管内破骨細胞分化系に添加したところ、破骨分化が著しく抑制された。この破骨細胞形成阻害はラット・マウス骨髄培養系及び前破骨細胞株RAW-D細胞を用いて確認した。アジュバント関接炎ラットの右側距腿関節周囲にガレクチン9を投与したところ、炎症性骨破壊が顕著に抑制された。対照実験として同一関節炎ラットの左側距腿関節周囲にvehicleであるPBSを投与した場合、骨破壊は全く抑制されなかった。Tim-3/ガレクチン9を介して炎症性骨破壊を効果的に制御できることが分かった。本研究では、破骨細胞形成や試験管内での破骨細胞分化におけるTim-3を介した細胞内情報伝達機構をイメージング技術等を駆使して可視化することを第2の目的としたが、解析に必要なコンストラクトの作成などが遅れた為、研究期間を延長した。破骨細胞に於けるTim-3の発現と分化制御については論文を英文誌に投稿し、現在、リバイス版を投稿したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画では破骨細胞分化におけるTim-3 情報伝達の生細胞を用いたイメージング解析を行うことになっていたが、必要なコンストラクトの作成が遅れた為、平成25年度中に終了することができなかった。シグナル解析にはTim-3 のチロシンリン酸化部位変異体が必要であるが、その調製は完了しており、現在、実験を行っているところである。生細胞を用いたTim-3を介した情報伝達のイメージングに関しても基盤となる実験をほぼ完了しており、興味深い結果が得られるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
シグナル解析に必要なTim-3 のチロシンリン酸化部位変異体の調製も完了している為、優れた研究成果が得られるものと思われ、インパクトファクターの高い論文への投稿を目指して実験を進めているところである。本研究の推進の為に、分子生物学に精通した助教が本研究に参加した。
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次年度の研究費の使用計画 |
シグナル解析用のコンストラクトの作成が遅れたため研究計画期間内に実験を終了することができなかった為、研究期間を延長した。現在、コンストラクトの調製が完了したので、研究計画を遂行しているところである。 本研究計画では破骨細胞分化におけるTim-3 情報伝達の生細胞を用いたイメージング解析を行うことになっていたが、必要なコンストラクトの作成が遅れた為、平成25年度中に終了することができなかった。シグナル解析にはTim-3 のチロシンリン酸化部位変異体が必要であるが、その調製は完了しており、現在、実験を行っているところである。生細胞を用いたTim-3を介した情報伝達のイメージングに関しても基盤となる実験をほぼ完了しており、興味深い結果が得られるものと思われる。次の事柄を継続して検討する。1)Tim-3 とそのリガンドの病的骨破壊の現場(関節炎モデル及び癌の骨転移モデル)における時間空間的発現変動について共焦点レーザー顕微鏡を用いた経時的イメージング解析を行う。2)FRET 解析を行うことにより破骨細胞分化におけるTim-3 情報伝達を直接的に観察する。更に、情報伝達の特異性をTim-3 のチロシンリン酸化部位変異体を用いて確認する。
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