研究課題
前年度までの結果からmyoD-TAD fusionによって骨格系に関わる転写因子の3つの機能が活性化されていることが示唆された。しかしながら、myoD そのものがターゲット遺伝子に影響を与え筋肉分化を誘導する場合と異なり現在までのところ、myoD-TAD fusion タンパクだけで安定して分化そのものを誘導できるわけではない。活性化するメカニズムを調べ、さらなる活性化を得る可能性を追求する目的でfusionタンパクによる活性化能とリンカータイプのもの(glycin linker)とを比べ、それも挿入部位が異なるものを用意した。glycin linkerを付与することによって若干の活性化の向上が認められたが、顕著なものではなかった。この傾向はTADの挿入位置とは無関係に見られた。さらに、myoD-TAD fusionと協調して働く分子を探索しその候補としてヒストン修飾タンパクに着目した。ヒストンメチル化修飾酵素が骨芽細胞や軟骨細胞の分化に伴って発現が認められることから、それらのmyoD-TAD fusionタンパク機能への影響を調べた。本来、抑制型のメチル化修飾を示すヒストンメチル化修飾酵素が、myoD-TAD fusion転写因子の機能に対しさらに促進的に働く結果が得られた。現在、myoD-TADに対して、直接あるいは間接的にヒストンメチル化修飾酵素が影響を与える可能性について検討している。以上の結果はmyoD-TADを付加することにより、Runx2を含む骨格系に関わる転写因子の活性化が認められること、その効果は挿入部位には影響を受けないこと、またヒストンメチル化修飾酵素によって影響を受ける可能性を示している。安定した分化転換を行うには転写活性化メカニズムのさらなる追求が必要であることも強く示唆された。
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