研究課題/領域番号 |
25670785
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
若森 実 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50222401)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | チャネル / カプサイシン / TRPV1 |
研究概要 |
温度感受性Transient Receptor Potential Vanilloid Type 1 (TRPV1)チャネルをHEK293細胞に発現させ、保持電位-60 mVにおいて電気生理学的に濃度―反応関係を記録した。カプサイシンの閾値は0.03 uMであり、EC50値とヒル係数はそれぞれ0.22 uMと1.4であった。次に保持電位-60 mVから3秒毎に-60 mVから100 mVまでの40 msの矩形波を与え、電流-電圧関係を記録した。カプサイシン非存在下では電圧刺激だけでは電流は惹起されなかったが、カプサイシンが存在すると-10 ~ 0 mV付近で逆転し外向き整流性を示す電流が記録できた。また、電流の形は時間依存性に活性化される外向き電流が特徴的であった。この時間依存的な外向き電流の活性化は遅延整流K+チャネルの活性化と類似していた。次に、細胞外液の陽イオンをNa+からN-methyl-D-glucamine+ (NMDG+) に置換した外液中で-50 mVから40 mVまでの三角波で電流-電圧関係を記録しながら、カプサイシン(10 uM)を投与した。Na+を含む外液中での逆転電位と比べ、NMDG+を含む外液中での逆転電位は過分極側にあった。しかし、カプサイシン投与中に徐々に0 mV方向に約7 mV (n = 6)シフトしたことから、NMDG+の透過性が上昇したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気生理学的研究は予定通りに進行しており、国際シンポジウム(The 5th International Symposium for Interface Oral Health Science)や国内学会(第67回日本薬理学会年会)で結果を発表している。光学的検討に関しては、やや遅れている。9月から研究棟の耐震補強工事のため、大部屋で実験しており、暗室が作れなかった。H26年度には暗室が使用できるため、遅れを挽回するつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
光学的検討に関しては暗室が使用できなかったため、実験が遅れているが、H26年度には暗室が使用できるため、遅れを挽回できる。TRPV1チャネルの他のTRPA1チャネルに関しても同様の手法(電気生理学的解析と光学的検討)で研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、暗室が使用できなかったため、暗室で使用する一部の試薬を購入しなかった。しかし、来年度は暗室の使用が可能になり、その分の実験も行うため、お金を繰り越して試薬を購入する予定である。 光学的測定用の試薬を購入する。
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