研究課題/領域番号 |
25670786
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 信博 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60183852)
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研究分担者 |
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60226850)
鷲尾 純平 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20400260)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / メタボローム解析 / ワールブルグ効果 / 糖代謝 / アミノ酸代謝 |
研究概要 |
口腔癌組織のメタボローム解析法を確立し実施した。口腔扁平上皮癌患者へのインフォームドコンセントのもと、外科的切除術の際に切除された癌組織から「癌細胞部分」とその周辺の「正常細胞部分」を切り出し、液体窒素で急速凍結した。次いで、各組織試料を事前の検討により最適化された抽出法に従って処理し、代謝中間体・代謝産物を抽出の上、濃縮した。得られた試料は、キャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析計(CE-TOFMS)を用いてメタボローム解析を行った。CE-TOFMSにおいては、アニオン・フォーマットにて各種糖代謝中間体および有機酸を、カチオン・フォーマットにて各種アミノ酸およびヌクレオチドを対象として、同定および定量を行った。得られたデータは、バイオインフォマティクス的に解析し、代謝中間体・代謝産物データベース基づいた既存代謝経路への割り付けや、癌細胞に特異的な代謝経路および新規代謝経路を検討した。その結果、口腔扁平上皮癌は、他の癌組織と同様に「ワールブルグ効果(グルコース利用亢進と乳酸産生亢進)」を示すものの解糖系中流・下流部の代謝は乏しく、一方、「グルタミノリシス(グルタミン分解代謝)」が亢進されていることが示された。すなわち、口腔扁平上皮癌に見られる「ワールブルグ効果」は、単に解糖系の亢進によるものではなく、グルコースの利用亢進による細胞構成基質の供給と「グルタミノリシス」の亢進に伴う乳酸産生の増加が、同時に生じた結果である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔扁平上皮癌組織のメタボローム解析とその代謝経路の検討という所期の目的を達成できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、癌組織に代わり培養癌細胞を用いてメタボローム解析を行い、詳細な代謝の特徴を解明する。さらに、代謝性バイオマーカーの特定や代謝阻害剤の効果について検討する。また、これまでの研究成果を、国内学会及び国際学会にて発表し、広く議論を求める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究施設の全面改修に伴い、購入設備を設置する場所が確保できなくなったため、購入予定設備の購入を見送り、他の研究施設の設備を借用することで対応したことによる。 購入予定設備は、他施設の設備を借用することで対応が可能となったため、本設備費購入費を、老朽化して使用が困難となったクリーンベンチの購入に充てることとする。
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