研究課題/領域番号 |
25670787
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (10126211)
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研究分担者 |
青木 和広 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40272603)
高橋 真理子 東京医科歯科大学, 歯学部, 技術職員 (90334440)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨吸収 / TNF / TNF2型受容体 / 炎症 / 歯周病 / 骨粗鬆症 / リウマチ / ナノゲル |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症、リウマチ性疾患、歯周病など、骨量減少をきたす疾患に対する予防および治療方法の開発は、高齢化社会が到来している我が国において極めて重要である。歯周病の原因因子の一つであるTNF(腫瘍壊死因子)は炎症性骨吸収のメディエーターとして機能していると推察される。我々はこれまでの研究により、2つ存在するTNF受容体のなかでTNF2型受容体が破骨細胞の分化を負に制御していることを明らかにし、歯周病治療薬の新規創薬標的として有望であることを示した。そこでTNF2型受容体の骨吸収制御メカニズムの解明と,本受容体へのアゴニスト候補物質を探索し、炎症性骨吸収抑制を主作用とする歯周病治療薬を開発することを目的として本研究を計画した。 研究協力者より提供されたTNF2型受容体へのアゴニストを用いて、最初にin vitroの研究を行った。マウス骨髄細胞培養あるいはマウス骨芽細胞と骨髄細胞の共培養による破骨細胞作成系を用いてアゴニストの効果を検討したが、有意に破骨細胞形成を抑制する効果を認めることができなかった。 さらにin vivoの系を用いた検討を行った。5週齢雄性のC57BL/6Jマウス頭蓋骨皮下にナノゲルを用いてTNFαを徐放させ骨吸収窩を形成させた。この系にTNF2型受容体へのアゴニストを投与しても骨吸収窩の形成抑制は認められなかった。 骨吸収抑制効果を検討するにはin vitro, in vivoでの実験・観察・検討が必要である。本研究で用いたTNF2型受容体アゴニストは両実験方法によって骨吸収抑制効果を求めることができなかった。したがって今回のアゴニストは新規薬物候補としての可能性は少ないことが明らかとなった。しかしアゴニスト活性は現段階では低いことが想像されており、より受容体への作用が高活性のアゴニストが創生できれば、TNF2型受容体を標的とした薬物開発の可能性はあると思われた。
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