研究課題/領域番号 |
25670788
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
工藤 明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (70178002)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メダカ / 破骨細胞 / RANKL / OPG / ノックアウト |
研究概要 |
哺乳類の頭蓋の成長時には、脳の成長に従って頭蓋の内側に破骨細胞が存在し、骨を削っているものと思われ、また外側では造骨が行われており、脳の形成とともに頭蓋骨は大きくなっていく。このときに脳が頭蓋骨の形と大きさの決定に関与しているのか全く明らかになっていない。この頭蓋形成で代表される骨モデリングをより分子的に解明する実験モデルとして、メダカ骨形成のシステムを用いて研究する。内側を削る破骨細胞と外側を造る骨芽細胞が協調しているのか、また外胚葉由来の神経管と中胚葉由来の血管という、独立に分化してきた器官が中胚葉由来の神経棘・血管棘(メダカ椎体の一部)の形と大きさの決定に関与するのかを解明する。我々の仮説は、神経棘や血管棘の、内側の破骨と外側の造骨が同調して神経棘や血管棘の大きさをコントロールするということ、もう一つは神経管と神経棘、血管と血管棘がそれぞれ器官の成長において同調的に作用し、大きさの決定をするということである。以上の仮説を証明するために、破骨細胞の消失を誘導したときに、神経棘や血管棘の成長はどうなるのか、また造骨はどうなるのかを観察する。我々はTilling法により、RANLノックアウトメダカを、さらにTALEN法により、OPGノックアウトメダカを作成した。破骨のマスター分化因子であるRANLノックアウトメダカでは破骨細胞の出現が急減し、その結果、神経棘のすきまがなくなり、神経管形成が障害された。また興味深いことの破骨細胞が少しだけ現れ、RANKLに依存しない破骨細胞分化が存在した。OPGノックアウトメダカでは通常存在しない椎骨上にも破骨細胞が現れ、過剰な骨吸収が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RANKLノックアウトメダカおよびOPGノックアウトメダカが得られ、メダカ全身での骨形成と骨吸収の異常が観察できる。その観察には従来確立したOsterix-DsRedトランスジェニックメダカが造骨細胞の観察用に、TRAP-GFPトランスジェニックメダカが破骨細胞の観察用に用いられる。すでにノックアウトメダカとこれらのトランスジェニックメダカの掛け合わせは終了しており、骨のリモデリングが生きたメダカの全身像として観察が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
作成したノックアウトメダカの発生時期特異的な骨形成異常を観察し、骨のモデリングのメカニズムを生きたメダカの状態で観察する。 さらに新たな骨リモデリングの組織である咽頭歯部の歯足骨に注目して、その解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定した発現誘導性のトランスジェニックラインの作成が遅れ、薬による特異的な細胞の消失ができなかった。 最近ようやく発現誘導性のトランスジェニックラインが完成し、その薬の量依存的な細胞消失が可能になりつつある。造骨および破骨特異的なトランスジェニックラインと掛け合わせて、その機能の検討を本格的に検討する。
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