研究課題
本研究は涙腺・唾液腺を標的とする自己免疫疾患であるシェーグレン症候群について、肥満という新しい視点から発症メカニズムの解明に迫る。自己免疫疾患の発症には様々な要因が関与するが、特に閉経期以降の女性に多く発症することが知られている。閉経によって女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏すると太りやすい体質となり、加えてライフスタイルの近代化が肥満の誘導を加速している。一方で近年、肥満脂肪組織では慢性炎症が引き起こされていることが報告された。しかしながら、肥満脂肪組織における炎症が全身の免疫システムに及ぼす影響については未だ解析がなされていない。本研究は、肥満と自己免疫疾患との関連性を明らかにし、肥満治療を介したユニークなシェーグレン症候群の新規治療法の開発を目指す萌芽的研究である。解析には肥満を伴うシェーグレン症候群モデルマウスである、アロマターゼ遺伝子欠損マウス(ArKOマウス)を用いた。ArKOマウスは加齢に伴い、肥満とともに唾液腺、涙腺に限局した炎症病変を認める。アロマターゼが主に脂肪細胞によって産生されることから、脂肪組織が炎症に及ぼす影響について解析を行った。その結果、これまでに、ArKOマウスの脂肪組織では樹状細胞とマクロファージの浸潤が増加していることが示され、特に炎症促進に働くM1マクロファージの増加が認められた。そこで今年度は、シェーグレン症候群におけるマクロファージの役割について明らかにするため、唾液腺に浸潤しているマクロファージのサブセットや貪食能などの機能解析を行った。
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