研究課題/領域番号 |
25670800
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
内田 啓一 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (40288353)
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研究分担者 |
棟安 実治 関西大学, 工学部, 教授 (30229942)
浅野 晃 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60243987)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パノラマX線画像 / 頸部石灰化 / G型フーリエ記述子 / 特徴量 / 自動検出の構築 / 輝度勾配 / 動脈硬化 |
研究概要 |
パノラマX線画像から頸動脈石灰化領域を検出し,医科への受診を促すシステムの研究が行われてきている。しかし,日常の臨床においてパノラマX線画像から歯科医師が石灰化の有無を判断することは困難なことが多い。今回,新しいミーンシフトクラスタリング法およびG型フーリエ記述子を用いたアルゴリズム解析による頸動脈石灰化の自動検出システムの構築の検討を行った。 頸部石灰化の疑われるパノラマエックス線写真323症例を用いて,石灰化領域の輪郭を検出するミーンシフトクラスタリング法とG型フーリエ記述子を用いて誤検出の削除を行う方法で画像処理を行った。その結果、頸部石灰化の有する画像で323症例中251症例の石灰化領域を検出することができた。新しいミーンシフトクラスタリング法およびG型フーリエ記述子を用いた解析では,記述子の特徴から石灰化領域とは考えられない部分を削除することができるため,精度の高い石灰化領域の検出に有効であることが示唆された。 しかしながら,石灰化領域でない誤検出が多く存在するとことが解った。 そこで,石灰化領域の特微量と機械学習を用いてさらなる誤検出の低減を検討した。頸部石灰化領域を有するパノラマX線写真170枚に対して,より正確な下顎骨下部の除去法を適用して、領域の形状や輝度値などの特微量について,石灰化領域と誤検出領域の違いを区別できるしきい値を検討した。その結果、提案手法において,検出数は104例,誤検出数は838例であり,検出率は67%,石灰化領域の分類率は74%であった。これまでの,輝度勾配による方法と比較すると,誤検出数を約80%減少できた。したがって,石灰化領域の特徴量と機械学習を用いて誤検出数を低減する方法は有効であることがわかった。 以上の研究成果を、2013年度春季および秋季日本歯周病学会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石灰化領域の輝度変化が山型の形状となっていることに着目し、山型の形状には輝度の傾きが変化する点があることを利用し、その領域の輪郭を検出するためにミーンシフトクラスタリングを用いた。また,検出数と誤検出率の間にはトレードオフの関係が存在するため、検出数の改善に伴って増加する誤検出の数を削減する必要があるので得られた領域の輪郭線形状が複雑なものを誤検出と定義し、G型フーリエ記述子を用いて,その判断を行い削除を行った。実験結果から,石灰化領域を有する画像の323例中251例の石灰化領域を検出することができた。そのため、当初の問題であった検出率を向上させるという点では,ある程度の結果が得られたと考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
G型フーリエ記述子を用いた検討では、誤検出数は246枚で10386箇所であり誤検出の数は増加したので、 今後の課題として、誤検出を削減する手法の改良が挙げられる。現状では、誤検出のために歯科において石灰化の有無を判断することは依然として難しいので、検出数を維持しつつ、さらに誤検出箇所のみ削除する方法を開発することが必要であるので、今後、この誤検出箇所のみ削除する方法を推進して行く予定である。また、石灰化領域と誤検出領域を正確に分類する特徴量について,さらに検討を行うことが必要であるので検討を行って行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度において高速画像処理アクセレターの購入を取りやめ、新たに誤検出箇所における削除法の検討を行うために、画像解析機器の導入の検討中のため次年度使用額が生じた。 画像解析の機器の購入と論文掲載料のために使用する予定である。
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