研究実績の概要 |
研究方法: 予備検討として、11種類の合成リン酸カルシウムのT2緩和動態をCarr Purcell Meiboom Gill法(τstep、Calculation delay(CD)、relaxation delay(PD)、積算回数を変数とした。)を用いて測定した。その後、様々の測定条件で得られたT2緩和動態の結果から、以下に示す新生骨量または骨塩量の描出測定条件の候補を抽出した。抽出した測定候補 はτ step=186μsec、CD=0.348msec で①PD=10sec,積算60回, 測定時間10分 ②PD=30sec,積算20回, 測定時間10分③PD=100sec, 積算4回, 測定時間6.7分。④PD=200sec,積算3 回,測定時間10分⑤PD=600sec,積算2 回,測定時間20分である。 次に2,4,6,9ヶ月齢のマウス脛骨近位部の31-PNMR信号は測定候補の条件で各々6検体、計24検体を測定した。測定によって得られた信号量はすでに確立されているT1緩和利用新生骨信号量測定法(T1 single pulse法:PD=0.5sec,積算480回,測定時間4分)で得られた結果、および、DXA(Hologic Discovery;小動物モード)で得られた骨塩量との相関を解析した。 結果: T2緩和差を利用した31-PNMRによる新生骨量測定法(Carr Purcell Meiboom Gill法)の測定条件は測定候補②のPD=30sec,積算20回, 測定時間10分とT1緩和利用新生骨信号量測定法(T1 single pulse法:PD=0.5sec,積算480回,測定時間4分)の相関が最も強かったことから(r=0.740 P<0.0001)、この条件が新生骨信号量の測定に適していると考えられた。一方、骨塩量の測定条件はDXAとの相関がどの測定条件の候補とも悪く31-PNMRでの骨塩量測定は困難であった。すなわち31-PNMRはリンの信号を描出しているために、カルシウムなどの他のミネラルの信号は含まれないことが原因と考えられた。また、骨燐酸カルシウムの組成は加齢により異なる可能性が示唆された。
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