研究課題/領域番号 |
25670805
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根本 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40292221)
|
研究分担者 |
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40261523)
土谷 昌広 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (60372322)
金谷 聡介 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80375097)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 歯内療法 / 象牙質 / 低出力超音波パルス |
研究実績の概要 |
前年度の研究でマウス歯乳頭細胞株に対して低出力超音波パルス(LIPUS)を照射することにより、アルカリフォスファターゼの発現誘導がみとめられたことから、本年度は細胞分化誘導に関連する分化マーカー(osteocalcin, bone sialoprotein, type I collagen, dentine matrix protein)の発現に与える影響をリアルタイムPCR法で解析した。単層に培養したマウス歯乳頭細胞株の培養液に直接LIPUS(SAFHS4000J、帝人ファーマ)発生装置を浸し、毎日20分間照射を行い、6日間培養した。LIPUS照射は周波数1.5MHz、繰り返し周波数1.0kHz、超音波強度30mW/cm2、パルス幅200μ秒の条件下で行なった。本実験で解析対象とした分化関連分子に対しては有意な発現上昇は見られなかったものの、強力な骨形成誘導能を有することで知られるBone morphogenetic protein-2 (BMP-2)の発現に有意な増強がみとめられた。さらに、同反応が他の細胞においても再現されるかどうかを解析したところ、ヒト由来歯根膜線維芽細胞においても同様にBMP-2の発現が有意に誘導されることが明らかとなった。一方、LIPUSを培養細胞に60分照射することで、細胞外アデノシン三リン酸(ATP)の濃度が有意に上昇することが明らかとなった。LIPUS照射自体による細胞傷害活性は見られないことから、LIPUS照射により細胞外に遊離したATPが細胞表面プリン受容体を介してBMP-2発現調節を始めとした細胞の機能調節している可能性が示唆された。次年度においては、ATPによる細胞内シグナル伝達経路も絡めた解析を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究で確立した低出力超音波パルス(LIPUS)を照射条件下において、アルカリフォスファターゼの発現誘導に加え、Bone morphogenetic protein-2 (BMP-2)の発現が有意に増強されることを見出したことから研究の焦点をこれらの分子に絞り込みが可能となった。さらに、同反応がヒト由来歯根膜線維芽細胞においても再現されることから象牙質再生のみならず歯周組織再生にも応用が可能であることが示唆するものであり研究課題の幅を広げることにつながった。以上のことから、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究成果、すなわち低出力超音波パルス(LIPUS)をマウス歯乳頭細胞株に照射することによってアルカリフォスファターゼとBone morphogenetic protein-2 (BMP-2)の発現が有意に増強される反応の分子メカニズムを解明することが今年度の目標と設定する。特にLIPUS照射により、細胞外にアデノシン三リン酸(ATP)が遊離するという知見に着目して、プリン受容体を介した細胞内シグナル伝達経路から解析を進めるとともに、メカニカルストレス受容体を介したシグナルの関与についても解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度請求額とあわせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
|