歯髄が気圧変動から受ける影響を明らかにするため、ラット歯髄細胞由来細胞株RPC-C2Aが減圧条件下で示す細胞状態の変化や痛覚受容体関連遺伝子の発現変化を検索した。その結果、減圧(0.5気圧)下でも増殖速度には大きな影響がなかった。マイクロアレイ分析では、歯髄の痛覚機構に関連する温度受容体や慢性疼痛ATP受容体の発現量は減圧下でほとんど変化しなかった。さらに0.1気圧の条件下では、多くの遺伝子発現に変化がみられたが、痛覚受容体関連の遺伝子の発現変化は少なかった。すなわち、気圧変化が歯髄の痛覚発症メカニズムを直接的に変化させるとは考えにくいと推察された。
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