研究課題/領域番号 |
25670811
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤峰 昭文 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00117053)
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研究分担者 |
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 講師 (60380466)
前田 英史 九州大学, 大学病院, 講師 (10284514)
門野内 聡 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30609558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯根膜組織 / iPS細胞 / ハイブリッドスキャフォールド / 再生 |
研究概要 |
本研究では、新たな歯根膜組織再生方法として、iPS 細胞をin vitro にて間葉系幹細胞に分化誘導後、動物モデルに移植するというストラテジーを立て、その歯根膜組織再生能を検討することにしている。先ずヒト歯根膜線維芽細胞および歯肉線維芽細胞から樹立したiPS 細胞を大量培養し、間葉系幹細胞様細胞へ分化させた。また、細胞移植の足場となるスキャフォールドに、コラーゲンおよびナノサイズのbeta-TCPのハイブリッドスキャフォールドを用いることを戦略として立てたため、その有用性をin vitroにて解析した。細胞接着性および増殖能に関しては、通常のスキャフォールドと比較して有意な差は認められず、また、硬組織形成能は高い結果が得られた。以上の結果より歯周組織再生のための新たな細胞移植に有用なスキャフォールドである可能性が高いことが示唆された。そこで、現在新たな歯周病ラットモデルの確立をめざし、人工的に歯槽骨および歯根膜組織を欠損させた後に細胞およびハイブリットスキャフォールドを移植し、その再生に関して検討を行っている。今後、iPS細胞由来の間葉系幹細胞のキャラクタライゼーションを行い、上記のラットモデルにハイブリッドスキャフォールドを移植しその再生能について検討する予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、1)iPS 細胞をin vitro にて間葉系幹細胞に分化誘導し、そのキャラクタライゼーションを行う、2)分化誘導後のiPS細胞由来間葉系幹細胞を動物モデルに移植し、その歯周組織再生能を検討する、という実験計画としていたが、iPS細胞の安定した大量培養に期間がかかったため、細胞分化誘導を開始したばかりである。 一方、細胞移植のためのハイブリッドスキャフォールドの解析およびin vivo解析用移植モデルラット確立のための実験は進行しており、移植のためのiPS細胞由来間葉系幹細胞が確立されれば、in vivo実験を開始する準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画通り、ヒト歯肉線維芽細胞および歯根膜細胞由来のiPS細胞を間葉系幹細胞に分化誘導し、そのキャラクタライゼーションを行う。その後、ナノbeta-TCPコーティングコラーゲンスキャフォールドと細胞を用いて、ペリオモデルラットの歯周組織欠損部に移植しその再生能について、組織学的および免疫組織化学的に検討する予定としている。具体的には、解析方法として、1) 骨芽細胞マーカー、セメント芽細胞マーカーおよび歯根膜組織マーカー)や神経マーカー(NGF, neurotrophin-3)および血管マーカー(VEGF, Tie-2)の発現を免疫組織化学的染色法にて解析する、2) 線維成分の局在および走行をマッソントリクローム染色にて観察する、3) 移植細胞の局在を抗ヒトビメンチン抗体を用いて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
iPS 細胞をin vitro にて間葉系幹細胞に分化誘導し、そのキャラクタライゼーションを行うことを計画していたが、iPS細胞の安定した大量培養に期間がかかったため、その後のキャラクタライゼーションに至らなかった。 iPS細胞を分化誘導後、間葉系幹細胞の特徴を有しているか否かを検証するため、間葉系幹細胞表面マーカーの発現をフローサイトメトリック分析法にて解析し、さらに分化アッセイ系(骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨細胞)を用いて多分化能の検討を行う。その後、ナノbeta-TCPコーティングコラーゲンスキャフォールドと細胞を用いて、ペリオモデルラットの歯周組織欠損部に移植しその再生能について、組織学的および免疫組織化学的に検討する予定としている。
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